こうなっているのか!ハイスペックモバイルPCの作り方
空間を選ばないワークスタイルに欠かせないのがモバイルPC。そのスペックはどんどん進化しているし、軽量化も進んでいるけれど、それらがどのように作られているかはあまり知られていません……と思っていたら、なんとモバイルPCを自分で組み立てるという激レアなイベントが開催されるそうです。それが、パナソニックのレッツノート20周年記念イベント『Panasonic Store工房』。
最前線でビジネスマンを支え続けてきたハイスペックモバイルPCは一体どんなプロセスを経て産声をあげるのでしょうか?さっそく現場に潜入してみました。
信頼のMade in KOBE
レッツノートを生産するパナソニック神戸工場。開発と生産を一体化し、最新技術を集結したこの工場で初代レッツノートが誕生したのは、情報通信産業の黎明期とも言える1996年のことでした。
日本でいち早くモバイルPCの製造を手掛けたというアドバンテージが、パナソニックならではの独自技術をどんどん磨いていったのです。
レッツノートの特長は、なんと言っても「丈夫さ」。それを実現するための秘密のひとつが、マグネシウム製の本体の中で基盤を浮かした状態で固定する「フローティング構造」です。約100kgfまでの圧迫に耐えることが可能なように設計されており、ぎっしり資料が詰まったブリーフケースに入れて満員電車に乗っても安心です。
この工場では、防水試験装置や高熱衝撃試験機や落下試験機なども導入されています。アメリカの警察で愛用されている堅牢モバイルPC「タフブック」も、これらの試験装置によって耐久性を確かめられているそうです。
「タフブック」で培った技術が「レッツノート」にも活かされているから丈夫なのか、と妙に納得してしまいます。
作るのは、30万円オーバー20周年記念最高級モデル
ちなみにこのイベントで組み立てに挑むレッツノートは『RZシリーズSSD512GB』の大容量メモリー搭載20周年記念モデル。ボディカラーや天板、キーボードのカラーを選んでカスタマイズまで可能で、買うと30万円を超えるという、これ以上のハイスペックはない機種です。
ハイスペックモデルとだけあって組み立て工程は実に45に及ぶ難易度の高いもの。果たして無事完成するのでしょうか!?
いよいよ組み立て開始!
静電気を身体から逃がすためのアースバンドを装着して、まずはメイン基板のネジ止めから。続いて端子類の接続、ディスプレイの取り付け…手先を使う繊細な作業が続きます。
実際に作業してみると、ネジひとつとっても締める順番、塗布される接着剤の種類が決められているのに驚かされます。これらはすべて耐久性を高めるために凝らされた「目に見えない工夫」。ネジ留めの箇所も他社製品に比べて多く、重量の増加を抑えつつも剛性を増すように設計されているそうなんです。
そして、ボディ内部には超小型のパーツがぎっしり!使用されているインテル製のプロセッサは省電力、高パフォーマンスなインテル Core m7-6Y75 vPro。並外れた長時間駆動を実現するために、プロセッサやファン、ディスプレイなどの電力消費は極力抑えるよう設計されています。
レッツノートはLTEにも対応しており、ドコモのUIMカードを本体に挿入すれば高速通信が可能。本体に専用の高感度アンテナを内蔵しているため受信感度も良好で、新幹線や高速バスなどで移動している間も仕事をバリバリこなすことができます。
Wi-Fiルーターを別に用意したり、スマホでテザリングすると今度はモバイルバッテリーも必要になったり…出張時は荷物がどんどん増えてしまいがちなだけに、これもまた軽量化に一役買っている機能。
加えて、空冷ファンなど一つひとつのパーツに対してグラム単位で軽量化。全体で約770gという軽さを実現しています。
デザインを決定づける天板、キーボードの取り付け→完成!
「8割方完成した状態からのスタートです」と説明されたものの、きっとひとりだったら完成まで漕ぎ着けることはできなかったハズ。わかりやすく詳しい説明書はもちろんですが、専門のスタッフが手取り足取り教えてくれたおかげで約2時間30分ほど掛けてなんとか作りあげることができました。
神戸工場は、セル生産方式(少人数で組み立てから検品をおこなう)を採用しているため、小ロット多品種生産が可能。だから「レッツノート」でも計7色の天板と12色のキーボードの中から組み合わせてオーダーできるだけでなく、インストールするOSやソフト類もカスタマイズできるんですね。
組み立て体験を通じてわかったこと
今回の組み立て体験を通じて感じたのは、レッツノートが20年守り続けているコンセプト、「軽量」「頑丈」「長時間駆動」へのこだわりでした。ストレスなく持ち運べ、動き、働き続けることができるようにユーザーの声を拾い続けて行き着いた形、それがこのRZシリーズだと言えるのではないでしょうか?
ボディに充分な剛性を持たせるために開発スタッフが満員電車に乗って圧力を測定したり、プロジェクターでのプレゼン用にRGB端子を残していたりするのもその証拠。
キーボードのタッチへのこだわりやボディの素材へのこだわりが生む手触りなど、スペックだけでなく、繊細な感覚を伴う部分にまで気を使っているのもとてもよくわかりました。
ザ・ジャパニーズモバイルPC
まるで職人の手によって生み出された道具のように、使うほどに自分に馴染み、まさに信頼のおける「相棒」として仕事の生産性を上げてくれるのが想像できてワクワクしてきます。そう考えると「30万円超え」という価格も頷けてくるのです。
それが、ザ・ジャパニーズモバイルPCを目指すパナソニックならではのクオリティ。日本のビジネスシーンに最適化されたモバイルPCは、仕事の効率をグっと上げてくれるはずですよ。