帰国して驚いた。「カフェでパソコン」は日本じゃキモいの?
約10年前、シアトル市内最大のスターバックスへ初めて行ったときのこと。お店の扉を開くと、そこに広がるのはパソコンに向かっている人、人、人! カルチャーショック…というよりも、とにかく当時日本では見たことがない光景でした。
そしてそれは、スターバックスだけではありませんでした。シアトルのカフェでは、学生さんが昼夜構わず勉強していて、課題をこなしたり、グループで勉強会を開いていたり。ビジネスマン、プログラマー、いろんな人がパソコンに向かいながらコーヒー片手に黙々と仕事をしています。
コーヒーを飲みに来ている、というよりは、コーヒー代を払って場所を借りている感覚。お店側もコーヒーさえ頼んでくれていたら、どれだけ長居しようが全然気にしていない様子。
家よりはかどるから
仕方ない
かくいう私も、家で仕事をしようと思えば思うほど、ついテレビを見てしまったり、仕事とはまったく関係ない知識をWikipediaで読み漁っているうちに数時間経っていたり、ゴロンと寝転がって休憩しているうちに寝てしまったり…。
ダラける誘惑のない環境に自分自身を置くため、徐々に私もカフェで仕事をするようになりました。その居心地の良さに「ここが自分のオフィス」と言わんばかりに、毎朝、まるで出社するかのようにカフェ通い。
甘すぎる自分に“他人の監視”をつけられるカフェは、仕事をするのに最適。それに、他の人に淹れてもらうコーヒーのほうがおいしいですしね。とくに私のようなフリーランスにはもってこいです。2015年に本を出版したんですが、実は一冊書き上げたのもカフェでした。家だったらダラダラして締め切りに間に合ってなかっただろうな、って今でも思います。
「迷惑」「うるさい」
「きもい」
ところが、そんな「カフェでパソコン」が普通であることにどっぷり浸かっていると、これまた“逆カルチャーショック”という現象が起こります。日本では「カフェでパソコンを開いていると“意識高い”感じがする」らしいじゃないですか。
決して昔の話でもなく「カフェ パソコン」で検索してみたら、関連キーワードにはこんなものも出てきました。
喫茶店 パソコン 迷惑
カフェ パソコン うるさい
カフェで仕事 迷惑
スタバ パソコン きもい
カフェ パソコン 何してる
「迷惑」「何してる」というネガティブワード祭りです…。日本では、カフェで仕事や勉強をするという文化は栄えないんでしょうか。最近はコンセントなど環境が揃ったカフェも増えているように感じますが、やっぱりまだまだやりにくいのかなぁ、なんて思ったり。
「自分以外のこと」を
気にしすぎ?
もちろん、コーヒーを楽しむ空間でカタカタと隣で仕事をされると、あまり感じが良くないと思われるのかもしれませんし、日本はアメリカのように「隣の人が何をしていようが、個人の価値が1番大切」という文化でもないですからね。
フリーランスや、在宅勤務OKの会社が、日本でも増えているのは事実。もともと「パソコン+カフェ=普通」という前提の、シェアオフィス×カフェみたいな場所が今後増えれば、日本にももっと馴染んでいくのかもしれないですね。