Wi-Fiなし、パソコン持ち込み禁止のカフェに人が集まる理由
窓際のソファ席、フリーWi-Fi、電源コンセント、あとはおいしいコーヒー。それを勝手にカフェに求めているワガママな客は、決して私だけではないはず。
ワーキングスペース代わりにしたり、タイムラインを永遠とスクロールしたり、まあそれをするのにカフェである必要なんて特にないのに、カフェの方がどんどんと便利になってくれた印象。
でも、ここは違います。
Wi-Fiの代わりに
FACE to FACEで
つながるカフェ
シカゴLincoln Parkに登場したブックカフェ「kibbitznest」は、あえてWi-Fiを飛ばさないばかりか、パソコンの使用、持ち込みも禁止、さらにはスマホの使用も控えめに、という独自ルールを定める、いまどきの感覚からすれば使いにくいカフェなのです。
じゃあ、その代わりに何をして楽しむのかっていうところ、これがとてもユニーク(ともはや感じてしまう)でした。
スマホゲームの代わりに、ボードゲーム
イヤホンの代わりに、ライブコンサート
メールの代わりに、タイプライターで手紙
例えば、ちょっとした図書館ばりに取り揃えた本を手にとってじっくり読んだり、音楽ライブやトークイベントを開催したり、他にも各種ボードゲームを店で知り合ったお客と楽しんだり。さらにはメールを打つかわりに、タイプライターで手紙をしたためる時間に使うこともできる。
アイデアも情報も、
すべて対話の中から。
快適な椅子やソファもあるけれど、ここのメインは店内真ん中に置かれたテーブルでお客同士が集まり、「ストーリーを語りあい、笑う」ことで、コミュニケーションを広げるというもの。このアナログなスタイルが逆にウケて、パソコンもカバンも持たず手ぶらで訪れるお客が後を絶たないといいます。
つながらないことで
つながり合える場のニーズ
じつはいま、こうした「つながらないことでつながるカフェ」がアメリカに増えているんだそう。アイデアだけとって考えれば、今にはじまったことでもないのでしょうが、便利の恩恵にあやかりすぎていることが、逆にこんな功罪を生んでいました。
それというのも、フリーランサーやノマドワーカーが多いアメリカでは、開店前からカフェに列をつくり、オープンと同時に長時間ラップトップを開いて居座る、作業目的のお客が多いそう。「本来のカフェの機能が失われ、まるでオフィスのような光景だ」と、kibbitznest創業者のAnnie KostinerはBBCの取材に応えています。
なんだか耳の痛い話。
Wi-Fiやコンセント、一人がけのソファをイマドキカフェの三種の神器とするならば、たしかにどこに個性を見出せばいいんだろう。オープンスペースであることが、逆にカフェの利用目的を限定させているのだとしたら…、なんて考えてしまいました。