男のたしなみと身だしなみは、ポートランダーから学んだ

ポートランドの街を歩けばしょっちゅう目にするのが、豊かなヒゲを蓄えた男たち。あのヒゲ、手入れはしているのか?それとも伸ばしっ放しなのか?
 
今回は、全米で2つしかないというストレートレザーブランドのうち、『PORTLAND RAZER CO.』を訪ねて話を聞いてみました。
 
それにしても、ヒゲを伸ばしている人が多いのにカミソリなんて売れるの…?

ヒゲの手入れには断然ストレートレザー

ストレートレザーについて語ってくれたのはスタッフのブライアン。

ヒゲを伸ばしっぱなしで手入れをしないなんて、論外だな!僕らがこの街でストレート刃のカミソリを作っている理由は、ポートランドはヒゲにこだわりを持った男性が多いからなんだ。

実はストレート刃のカミソリはT字カミソリやシェーバーと違ってヒゲのキワを剃りやすいから、ヒゲ全体をデザインしやすい。ヒゲを伸ばしている人にこそピッタリな道具がストレートレザーだってことを、覚えておいてくれよ!

それにしてもストレート刃のカミソリでヒゲを剃るのは肌を傷つけそうでちょっと怖い。それに道具もたくさん必要なのでは?

そこで、実際にヒゲの手入れをしているところを見せてもらいました。

これは、アナグマの毛を使ったシェービングブラシ。まずはこれでフォームをしっかりと泡立てて…

アナグマのブラシは水分をしっかりと貯めるから最適なんだ

蒸しタオルでヒゲを柔らかくしたあと、全体にブラシで泡を塗っていきます。

ここで泡が垂れないように、固く緻密な泡を作っておくことが大事!

頬ヒゲの手入れ。チリチリ…と、ヒゲが剃れていく時の音もいい!

皮膚を引っ張りながら刃を寝かせて剃っていく。刃を横に引くと切れてしまうから注意して!

伸び過ぎたモミアゲもストレートレザーならラクにカットできます。

ほらね、ヒゲを蓄えていてもカミソリは必要なんだよ!

電気シェーバーと違ってストレートレーザーは使い方に慣れが必要だし、ぶっちゃけ泡を立てたりと色々と手間も掛かる。だけど手間が掛かるからこそ、「男の趣味」として成立するんだ。単純に身繕いするためではなく、手間を楽しむことで男を磨くための道具でもあるのさ。

ヒゲの手入れはポートランダーにとって特別な存在。
剃刀が使える”バーバーショップ”は、日本でも身だしなみに気を使う男が集う「コミュニティ」として、若い男性から再び注目を浴びている場所。

この街のバーバーショップはどうなのか?
そのあたりを探るため、地元のショップを訪ねてみました。

ビール、バーボン、ヘアカット
それは一種のアート

ここ、BARじゃないですよ。BARBERですーー。

『DAPPER BARBER』は、顧客にアルコールを提供し、飲みながらヘアカットをするというコンセプトのバーバーショップ!

到着したら、まずはかけつけ一杯。このお酒はポートランド市内にあるイーストサイド蒸留所のバーボン。ノドに火がつきそうながらもスムーズな味わい!

 

この立派なヒゲを蓄えているのがオーナーのローレン。

ーーそれにしても、なぜバーバーショップでアルコールを出すの?

ビールやバーボンを飲みながら店主と世間話をして、髪やヒゲの手入れをする。僕はそういったバーバー文化は失われつつある一種のアートだと思ってる。この店は生活としてのアートを取り戻すための取り組みなんだ。

昔は男が外で力仕事をするのが当たり前だったけれど、いまはデスクワークみたいなホワイトカラーの仕事が増えて、無骨な男っぽさはイメージが悪くなってしまった。ヒゲやバーバーショップが人気なのは、古きよきダンディズムを取り戻したいと、みんながどこかで感じている証拠なんじゃないかな。

客が散髪されながらビール片手に人生相談や仕事の悩みを打ち明ける…取材中も幾度もそんな場面に遭遇しました。

髪をカットするだけじゃない、ヒゲを整えるだけでもない。

男が心底リラックスできるコミュニティを形成する場としてのバーバーショップは、今後、日本でもますます注目されるでしょう。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。