キノコがつなぐ、ポートランドと日本の意外な関係って?

アウトドアの盛んなポートランドで親しまれているアクティビティのひとつが「マッシュルームハンティング(キノコ狩り)」。

10月から春先までシトシトと雨が降り続けるこの街の気候は、キノコが育つのにピッタリなんです。今回はOregon Black Trufflesというポートランドのキノコに関するサイトを運営しているエリックのマッシュルームハンティングに同行しました。

マツタケにトリュフ!?
ポートランドのキノコ事情

「オレゴンは一年を通じていろいろなキノコが採れる街。春はポルチーニ茸やアミガサタケ、夏はアンズタケにマスタケ、秋はマツタケ、冬はトリュフが採れるんだ。今だったらアンズタケやマツタケ、それにキャンディキャップという甘い味がするキノコが採れる時期だね。今日行く場所にもマツタケが生えているかもしれないよ」
 ポートランドでマツタケ!?とは意外ですが、日本のスーパーで見かけるマツタケの多くはカナダ産。カナダに近いポートランドでもマツタケが採れるのは不思議なことではないのかも。

「キノコ狩りは生えている樹の種類や環境を見極めるのがコツ。だから自然について学ぶきっかけにもなるよ。マツタケは標高の高い場所や、海岸沿いの針葉樹林帯が狙い目。日本がバブルの頃はマツタケの輸出で儲かっていた人も多いから、キノコ狩りをする人の中には横取りされないようにショットガンを持っている人もいたりした。

オレゴンは場所によって決まりがあって、一番キノコ狩りをしやすいのは国が管理しているナショナルフォレスト。個人用であれば、無料で許可証を発行してくれるんだ。海岸沿いの針葉樹林帯は商用でも個人用でも採っていい場所だけど、林業会社の土地と公用地が入り組んでいたりするので注意が必要だね」

この日のキノコ狩りスポットは、ポートランド市街から高速で40分ほど先の林道に決定。街から少し離れただけで原生林が残る雄大な自然が広がります。足元はふかふかの分厚い苔で覆われており、まるで豪華な絨毯のうえを歩いてるような感触!

早速キノコを発見!分厚い苔の中からチラリと顔を覗かせているのがわかりますか?

掘り出すと、なんとこの大きさ。思ったよりも地中深くから生えているのです。

「こっちではシャントレル(アンズタケ)と呼んでいる種類で、夏から秋にかけて生えるもの。ポートランドには、コレに似ている毒キノコは生えないから、マッシュルームハントの初心者向きだね」

甘い味がする
不思議なデザートキノコ!?

もうひとつのお目当て、キャンディキャップを発見。

「乾燥すると甘くなるキノコで、アイスクリームの具にしたりクッキーに入れたりするんだ。これも高値がつくんだけど、なかなか量を採るのが難しいけどね」

和名ではチチタケと呼ばれるキノコの一種。あまり知られていませんが、ひょっとしたら日本にも生えているのかも?

ついにマツタケとご対面!

そして、ついにマツタケを発見!…でもなんだか形が見慣れませんね。

「森林帯のマツタケはこんな感じでずんぐりとしてて、海沿いに生えるのは日本のものと似た形をしているよ。

しかしながら、ポートランドの地元ではほとんどのマツタケは食べられず、日本への輸出がメインだとか。

昔はマツタケ狩りで1日何千ドルも稼ぐ人もいたほどさ。トリュフもマツタケと同じぐらい稼ぎ頭だったけど、鋤で地面を荒らして採る人が続出して、今はトリュフの採取は基本的に禁止だね」

ハンティングの後は
待望のクッキングタイム!

さて、マッシュルームハンティングから戻ったらお待ちかねの料理へ。アンズタケは日本にも生えているけれど、あまり知られていないキノコ。一体、どんな味がするのでしょう?

地元の老舗オーガニックスーパーで手に入れた野菜と一緒にオイルパスタに!

塩と胡椒しか使っていないのにキノコから出た旨味がしっかりとパスタに絡み、シコシコとした歯触りがクセになる一品。

「アンズタケは癖のない味わいで、乾燥するとアプリコットのような香りがするんだ。我が家ではパスタのほか、クリームスープにして食べたりすることが多いね。

僕はもともとキノコが苦手だったんだけど、それはどうやら缶詰や鮮度の悪いキノコばかり食べていたせいだね(笑)。ポートランドに引っ越してきて、自分の手で取ったアンズタケを食べてからキノコが大好きになったんだ」
 
この街の自然には、人の好みを変えてしまうほどの魅力があるようです。ポートランドは日本と同じ緯度に属し、同じ種類のキノコも多く生えています。
 
ポートランドでのキノコ狩りを目標に、まずはキノコ図鑑を片手に近くの公園や裏山を散策してみてはいかがでしょう?
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。