ゴミで栽培される「キノコ」
黒いビニール袋を使って栽培されるオーストリア産のキノコ。
これを聞いただけでは大したことないと思うかもしれないが、「Hut&Stiel」が育てるのはウィーンの文化を守るためのキノコだ。
大量消費がつづくウィーン
コンサルティング企業Mercerによる生活環境の良い都市を評価するランキングで、9年連続1位を獲得しているウィーン。それでも「Hut&Stiel」によれば、毎日約44トンものコーヒーかすが捨てられているという。
ウィーンは生活環境だけでなく、コーヒーカルチャーも世界に誇れる。だけど、コーヒー豆の大量消費が続けば、ネガティブなイメージがまとわりついてしまうかもしれない。
自国の文化に危機感を覚えたFlorian HoferさんとManuel Bornbaumさんは、使い道のなかった“ゴミ”でキノコを培養するアイデアを思いついた。
「コーヒーかす」で作られるキノコ
コーヒーを淹れるためにコーヒー豆は1%しか使われていない、というのはどこかで聞いたことがあるかもしれない。
FlorianさんとManuelさんは、残りの99%をカフェやレストラン、ホテルから回収して、それを利用したキノコの培養方法を開発。そして、栽培した食料を提供しているお店に送り届けるという仕組みをつくった。
すでに多くのレストランも協力していて、「Hut&Stiel」のキノコを使ったレシピもWEBサイトに載せられている。
ちなみに、「Hut&Stiel」が配達をするときには自転車が使われる。細かなところだが環境に対するこだわりを感じる。
多くの人にとって大量消費をすぐに止めるのは難しい。たくさんの“ゴミ”を利用して、人々の注目を集めて環境に気を使ってもらう方法をFlorianさんとManuelさんは実践しているのかもしれない。
今となってはコーヒーかすもキノコ栽培に欠かせない“材料”だ。