最先端のお家は「キノコ」で作る!?
世界の二酸化炭素排出量の10%は建設にかかわるものが原因といわれている。
その大きな割合を占めるのがセメントだが、その代替品として注目されているもの。それはなんと──キノコ。
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新しいアイデアの研究や実験などを手掛ける会社「The Living」が目をつけたのは、アメリカのペンシルベニア州の林に自生する「Phellinus Robiniae」と呼ばれる硬いキノコ。
レンガを造るためには「Mycelium(菌糸体)」と呼ばれるキノコの根っこのようなものがカギとなる。枝分かれして網状に広がっていくその性質を利用して、穀類などと一緒に培養。そして、レンガの型に入れて密度を高めて強固にし、最後に菌糸体の成長を止めるためにオーブンで数時間焼けば......あら不思議!キノコのレンガの出来上がり!
「キノコ製のレンガ」なんて聞くと耐久性を不安視する声も上がりそうだが、重さのストレステストもなんなくクリアして強度も十分そう。二酸化炭素の発生を抑えられるし、使い終わったら地球に還元できるのもいいところ。
古代から存在するキノコが、じつはこんな可能性を秘めていたなんて!
最近では、すでにキノコを素材にした服や家具、レザーも生み出され、さらに地球に優しいプラスチックの代替品としての活用も研究されている。
「あのフニフニな食感のキノコが?」とまだ疑う気持ちも正直あるが、キノコに詳しい菌学者は「Nature gave us everything we need.(自然は人間に必要なものすべてを与えてくれる)」と語っている。
キノコでできた家......傘の部分が屋根になった、子ども向けの絵本に登場するものとはちょっとフォルムが違うけど、なんとも夢のあるお話だ。
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