「人事採用」は、人間よりも機械のほうが優秀。全米経済研究所が発表
優秀な人材を見極めなければ!とは言うものの、ぶっちゃけ一緒に働いてみるまでわかりませんというのが本音かも。ハイヤリングに関する様々な方法論を書いた著書もありますが、どうやらアルゴリズムで適性を分析するのがより確実なのかもしれません。
全米経済研究所の調査結果は、一部の職種において人間よりも機械的判断の方がより正確な判断を下せると結論づけています。
アルゴリズムで選んだ人は
より長く就業する!
より長く就業する!
調査には15社が参加。分析はデータ入力やコールセンター業務のために採用を行った、300,000件のハイヤリングデータを元にしたもの。在職期間やテストの結果から判断した適正の高い人材と、人間によって選ばれた人々のその後を比較しました。
様々な質問や試験によって導き出したスキル・認知能力をもとに、職種に向いている人からそうでない人へとそれぞれのレベルを「青・黄・赤」と3段階に色分けしました。青を選べば、アルゴリズム的に良い決断となります。
すると、「青」は「黄」のグループより平均12日間も長く勤務が続いたことがわかり、さらに「黄」と「赤」の勤務日数の差は17日間へと広がりました。
この度対象となった職種が3ヶ月ほどの短期契約が基盤になっていたことを考慮すると、その影響は大きいもの。もしも数千人規模の雇用だったとすればなおさらです。
「生産性」もアップ!
15社のうち6社では、生産性に関する調査も行われました。たとえば、1時間に何件の電話対応を完了させたかなどです。これについても、アルゴリズムによってより適正が高いと選択された人々の生産性の方が高かったそう。
ハーバード・ビジネススクールで起業学に携わるダニエル・リー助教授のコメントが「ブルームバーグ」に掲載されています。
「アルゴリズムを無視した人選が功を奏したという統計学的データはありません。"面接で価値のあることが聞けた"と思うことは人間心理として自然ですが、テストの結果よりも価値があるかと聞かれたら、その答えはほとんどの場合"NO"です」
企業カルチャーの
マッチングは?
そうは言ってもやっぱり同じ職場で働く人とはちゃんと話したい!というのも正直なところ。今回の調査は限定的な職種を対象にしているため、例外もあるのではないでしょうか。
「ニューヨーク・タイムズ」紙には、ケロッグ経営大学院でハイヤリングを研究するローレン・リベラ氏のこんなコメントが。
「企業の戦略に対する協調性やコミットを確認しておく必要はあります。カルチャーがフィットしている人を雇用することで全体にも影響があるでしょう。しかし、一方で差別的な待遇を生んでしまう可能性も含んでいます」
メリット・デメリットどちらも考えられるのはもっともかもしれません。ペンシルバニア大学ウォートン校で行動分析学に携わるケイド・マッセイ氏も、面談では偏った視点を持ってしまう可能性があると指摘しています。
「お互いの出身地などに共通点があるだけで面接官の印象が良くなります。が、それはどんなパフォーマンスを持っているかとは関係ありません」
はじめは機械的に分析して
面談で決める!
賛否両論の意見を持つ両名ですが、面接をする場合には型を決めることを推奨しています。
すべての参加者に同じ質問をし、実際にある業務タスクによるテストでどんなパフォーマンスを発揮するのかを見るべきだとか。
確かに、話していて意気投合!したは良いものの、全然履歴書に書いてあるスキルと違った…。なんてこともあるかも?
その点、より現場の環境に沿うかどうかをまずは機械的に分析して、最後に息が合うかどうかを面談で確認する、というのが最も理屈にあった方法と言えるのかもしれませんね。