「防犯デザイン研究所」の考える犯罪が起きにくい空間作りとは【調査結果】
「防犯」。どんな時代でも大きな社会課題となってきたわけだが、日本の防犯グッズは「犯罪が起きてから効果を発揮するもの」が多く、犯罪が起きる前に対策している事例は少ない。
そこに着目して犯罪学の観点から原因を考え、デザインを駆使した防犯方法を企画していく「防犯デザイン研究所」なる組織が立ち上がった。同組織がおこなった防犯にたいする調査がなかなか興味深いので、紹介したい。
まずは人々が「危険・怖いと感じる」場所について。
ショッピングセンターや公衆トイレ、駐車場、公園といった公共空間をと回答したのが全体の約8割。なかでも公衆トイレが50%と、2人に1人が恐怖を感じているようだ。
犯罪が発生しやすい環境については、「人の目につきにくい環境」が46%とダントツ。危険と感じる空間(公衆トイレや空き家)が人目につきづらい場所にあったとすると……人々はより危険を感じるということだ。
では、具体的に人々はどんな対策をしているかということだが、第一は「危険な場所に近寄らない」で79%だ。続く「防犯グッズ・アプリを身につけている」の9%と合わせると、9割近くの人が何かしらの対策をしていることになる。
ただ、後者の数値は「何もしていない」「何をしたらいいか分からない」(それぞれ6%)と大差なく、防犯グッズやアプリの普及率はお世辞にも高いとは言えないようだ。
パトロールや講習などの防犯活動に参加したことがある人も34%にとどまり、多くの人は正しい防犯知識を身につける機会自体が少ないのである。
これらの結果を見ても「防犯デザイン研究所」が掲げる、みんなが怖いと感じる空間そのものを犯罪が起きにくい空間にデザインするというのは、理にかなっているといえる。
日本は平和な国ではあるけれど、防犯への意識は一人一人がより強く持つほうがよさそうだ。