子どもたちの笑い声とデザインが一体となった、ダイナミックな空間。
千葉県市原市の「ふくます幼稚園(学校法人三和学園)」に、あた
倉庫をモチーフに、
大型のテント建築を新設。
外から見ると、真っ白い巨大なテント、といった風貌。中に入れば、その天井の高さを生かした、のびのびとした空間が広がる。この建築物、もとは、敷地に残っていた古い倉庫をどうにか活かせないものだろうかと考えるところから始まった。しかし、倉庫から幼稚園へ用途を変える際、多額の費用がかかることが分かり、既存の倉庫をモチーフに、柱のない大型のテント建築を新たに新設したのだ。
雨に濡れない、大空間。
外観からはなかなか想像つかないが、大型テントのなかには、木造2階建ての園舎が入れ子状に建てられている。メインエントランスから中へ入り、建物中央に位置する広場へ向かうと、高さ8メートルに及ぶ吹き抜け空間が現れた。
自由な空間のための、ひと工夫。
うすい木造の壁がひと筆書きのように連なり、内部空間はゆるやかに仕切られる。子どもたちがこの中で、自由に遊ぶのが目に浮かぶようだ。
子どもたちのためだけではなく、
街の未来のために。
遠方から時間をかけて送迎する家庭が多いことを考え、子どもを送った後、すぐに自宅に戻らなくてもいいように、親子が一緒に過ごせるための子育て支援室も用意されている。日当たりよく、すっきりとした空間なので、地域のイベントスペースとしても活用できそうだ。
こういう場所をぼんやり眺めていると、建築物に完成はないのだなと思ってしまう。空間に人々が交差し、時を刻みはじめるときが、またあらたな始まりである。これから、どのように子どもたちに愛され、街に根づいていくのか。あたたかい目で見守りたいと思う。