「行政×デザイン」。ある県が暮らす人のことを本気で考えた結果がこれでした。
さて、ここはどこでしょう?
1.
2.
3.
正解は
1.白石のレンコン畑
2.有明海の干潟(鹿島ガタリンピック)
3.筑後川昇開橋
ぜんぶ、佐賀県。
今見ていただいたステキな風景たち、「2017年度グッドデザイン賞」を受賞した「さがデザイン」という取り組みのひとつである。この風景たちが、どう取り組みと関わっているのかは後々紹介するとして、まずは、そもそも「さがデザイン」ってなんなのかという部分にふれていきたい。
「佐賀らしさ」を
デザインの視点でみがくと
なにがよくなる?
「自分らしさ」をみがこうとしたとき、例えば、自分っぽい色を積極的にファッションにとり入れるとか、いつも好きなおやつを食べるとか、特技をもっと得意にしてみるとか。いろいろやりようはあると思う。佐賀県は、「佐賀らしさ」をみがこうとしたときに“デザイン視点”をとり入れることを選択した。
「さがデザイン」とは、簡単にいうと「佐賀らしさ」をデザイン視点でみがきあげること。そうやって、今あるモノやコトに新たな価値を付与することが、結果的に人のくらし・まちを心地よくすると考えたのだ。
「さがデザイン」を実際に、施策におとし込むための専門チーム「政策課さがデザイン担当」は、外部のデザイナーやクリエイター、コンサルタントなどとのネットワークを構築している。県の事業立案、構想、実施にいたるまで、専門家たちの視点をとり入れながらプロジェクトを進めていく。
取り組みの一環として「勝手にプレゼンFES」というユニークな場がある。ここでは、クリエイターが佐賀県に対して自由なアイデアの提案を行うことができ、実際にここから生まれた事業もあるという。
“デザイン視点”の実績物。
まずは、林業課のプロジェクト、県庁本館ミーティングスペース「EN-えん-」。もともとあった面談室を木目があたたかい空間にリニューアル。県産木材のPRの場としての機能も備えている。ほかにも、資産活用課では「県庁CLASS」という子どもたちの学びの場を創出。パネル展示を備えたレクチャースペースを整備したり、旧知事室・旧来賓室をふれて感じるスペースとして一般公開したり。「開かれた県庁」を目指すことの一歩でもある。
で、あの風景たちの正体は?
最初にご紹介した風景は、観光課と佐賀県観光連盟のプロジェクトとして「さがデザイン」がプロダクトデザインを行った事例のひとつ。ずばり、オンラインの絵葉書「HERE WE ARE.」。
これ、佐賀を訪れたときに、「ここにいるよ」「さあ、ついたよ」の意味を込めて、友人や家族にメッセージを送るもの。使い方はとっても簡単。サイトにアクセスして、24あるなかから好きな風景(モノ)を選び、相手の名前やアドレス、メッセージを入力し送信ボタンを押すだけ。誰でも無料で送ることができる(iPhoneは6以降から対応)。
とりあえず、使ってみよう。
「九年庵(くねんあん)」に、九州随一の紅葉を見に。「吉野ヶ里歴史公園」に、古代の歴史を学びに。そして、「有田焼」に触れに。佐賀県に行ったなら、このオンライン絵葉書を大切な人に送ってみてほしい。そしてそれと同時に、佐賀県が「さがデザイン」というカタチで“新しい行政のあり方”を追求しているということを、ちらっとでも思い出してほしい。