カラフルな家具が、カイロの「ゴミ問題」解決の糸口になる
小麦や米粉、さらにはコーヒー豆の入った穀物袋をリサイクルしたバッグがあります。異国情緒ただよう、イラストやロゴ入りのバッグは軽く、旅の土産ものとしても人気がありますよね。
ここで紹介する椅子も、じつはゴミからできたものなんです。街にあふれるほどあるプラスチックバッグ(ビニール袋)を再利用することで、大きなメリットを生んでいるようですよ。
ゴミ処理問題解決へ向けて
“捨てない椅子”が動き出す
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まず、ゴミからできていると言っても、ビニール袋が使われているのはカラフルな座面(ないしは背もたれ)の部分。耐久性があって、エコフレンドリーなハンドメイドのこの生地に注目!
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カイロの若手デザイナー(Mariam HazemさんとHend Riadさん)によるデザインユニット「Reform Studio」は、街にあふれるこのゴミ袋をリサイクルした生地で、椅子やバッグなどオリジナルプロダクトを製造しています。2014年だけでも、じつに79万枚近くのビニール袋を回収し、生地へとリメイクしてきました。
集めた袋を殺菌消毒、そこから糸のように細く裂いて加工していきます。これを織機でていねいに手作業で織り込んでいくと、「Plastex」と名付けたカラフルな生地ができあがり。
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「ゴミとして分類される前に、ビニール袋のライフサイクルを延長させることが最大の目的」とメッセージングする彼ら。
というのもReform Studioの調べでは、カイロ市内で利用されるビニール製の買い物袋の平均利用時間は、せいぜい約12分程度なんだとか。ショップから自宅へと商品を持ち運びするのにかかる時間なのでしょう。家につけば、その大半はゴミとなるのが関の山。ところが、家庭ゴミとして捨てられるプラスチックゴミの処理が、現在カイロ市内で満足いかない状況なんだとか。
ゴミ処理問題の背景にジャスミン革命の功罪が
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そこには、こんなお国情報が。
「Citylab」が伝えるところによると、エジプトでは1940年代より、いわゆる廃品回収業者のように街のゴミを収集し、リサイクル業者に引き取ってもらうことで生計を立てる「Zabaleen」と呼ばれる人々がいたそうです。ところが、ムバラク元大統領が2004年、海外資本のゴミ処理施設を誘致したことで、Zabaleenたちは職を失うことに。
もともとは、ゴミの問題を解決する手段だったはずの処理施設は、先のジャスミン革命による元大統領の失脚以後、施設はほどんど機能していない状態なんだそう。日に日にプラスチックゴミはあふれるばかり。カイロ市内はビニール袋を始めとするプラスチックゴミの処理問題が深刻化しているのです。
そんな矢先のReform Studioのリサイクル生地に、国の内外から注目が集まることになりました。
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エシカルな暮らしに寄りそう新しいエジプトが始まるかも
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67%をビニール袋、残りもリサイクルコットンで織り込んだPlastex。あえて手織りにこだわるのにも意図があります。エジプトに千年以上伝わる伝統工芸を用いることは、わずか12分足らずの用途のために製造されたものでも、長く使いたくなる日用品へと変容させることができる。こうしたエコ・コンシャスなアイデアをエジプトに根付かせたいとする、若きデザイナーのチャレンンジでもあるようです。
2011年、民衆蜂起に触発され、アラブの春を目の当たりにした若きデザイナーふたりは、このリサイクル生地を通して、エコ・コンシャスで新たなライフスタイルをエジプトに根付かせたい、という大きなチャレンジに乗り出したばかり。
いつか、エジプトの旅土産のひとつに、このカラフルな生地を使った製品が定番になる日が来るかもしれませんね。