「捨てない工夫」がエコで粋なスツールを生み出した

Zostera」という名のこのスツール。座面に使われている素材は、なんと海草。しかも、日本の水辺にも生息するあの「藻」だとか。 

毎年、北海に面したドイツのビーチには、数万トンにも及ぶ藻が打ちあげられ、その除去処理に膨大な労力が注ぎ込まれている現状。その改善策のひとつとして、ゴミとなってしまう藻を、天然素材のスツールとして再利用するプロジェクトが始まった。

だから、ドイツ語で藻を意味する「Zostera」はそのままスツールの名に。

革新的な素材は
藻×プラスティック

ドイツのプロダクトデザイナーであるCarolin Pertschは、藻の素材化に何度も試行錯誤を繰り返した。そして、ようやくたどり着いた答えが、おもに植物油からなるバイオ樹脂を用いた「エコプラスチック」を藻に混ぜて生成される新素材。

スツールの座面の色合いが、緑からこげ茶までバリエーション豊かなのは、素材の色がそのまま活きているからとのこと。近づいて見ると藻がまるでコルクのように圧縮されているのがよく分かる。こうして、廃棄されるはずだった海岸線の厄介者は、人々の日常へとデザインされた。

“天然のゴミ”に感じた
可能性

Carolinは、このプロジェクトをきっかけに革新的な加工技術に対する人々の意識が変革することを望んでいるようだ。

天然素材と言えど、ゴミはゴミ。けれどそこに可能性を感じて再利用したこと、リサイクルの定義を自然界まで拡大して取り組んだことに、このプロジェクトの大きな意味がある。もし、このスツールに腰を下ろすチャンスがあったなら、家族や仲間たちと身近な環境について、改めてディスカッションするというのも悪くない。

Licensed material used with permission by Carolin Pertsch
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。