「ダブルループ」を使った仕事術が、目的を達成するヒントになる。

「ダブルループを会得すれば、アウトプットの質や仕事のスピードが高まる」

著書『ひとつ上の思考力』のなかでそう語るのは、事業変革パートナーの安澤武郎さん。

ダブルループとは、本書のメインキーワードでもあり「物事の進め方における作戦(どうすれば効率的になるのか、どうすれば良い結果が生まれるかなどの思考)を立て、行動すること」を指しています。

この記事では、ダブルループの必須要素である「目標を活用する」ことについて紹介しましょう。人は、目標を立てることで応用力が身につくようになる、とのこと。一体どういうことなのでしょうか。

目標を「進化」させる

ビジネスにおいて避けて通れないのが、業績を上げる(結果を残す)ということです。

人の役に立つものを世の中へ提供できても、他社との競争に勝てず、会社や個人の生活が安定していなければ、その価値を社会へ供給し続けることはできません。

ビジネスでしっかり結果を残していくためには、何をターゲットに仕事を進めればいいのかを決め、PDCAを回していくことが必要です。そこで、ただ目標を設定するのではなく、どのような目標を設定すると高いパフォーマンスを発揮できるかを考え、目標の設定の仕方に関するPDCAを回す…それがダブルループの仕事術です。

会社で決められた指標を活用する際に、その指標を活用する目的をしっかり確認しているでしょうか?業績を上げるために工夫をしているでしょうか? なんとなく踏襲しているだけでは良い仕事はできません。

飲食店を例に挙げましょう。店舗の売り上げをアップするためには、様々な観点から見つめ直す必要があります。

・お店の前を通行する人のうち、何人が来店するのか?
・会計時に勧めているポイントカードへの加入率はどれくらいか?
・ポイントカードを利用している人の中で、何人がリピートしているのか?

このように、鍵となるプロセスを明確にすることが大切です。ここを間違ってしまうと、手間ばかりかかってしまって、成果はあまり得られないでしょう。

店舗経営は、店づくりから新規顧客獲得へ繋げることが王道です。店の質が低く「また来たい」と思わせる水準に達していないのに、新規顧客を呼ぶことばかりに力を入れると長続きしません。これは、目的が明確なのに、目標の設定が間違っている典型です。

会社、部署、あなた自身の目標は日々進化しているでしょうか?仕事をする際にただ「目標を達成すること」を目指すのではなく、「クリアするレベルを引き上げていく」というスタイルを確立してください。そのためにも「目的」と「目標」の違いをしっかり理解し、意図を持って仕事をするクセをつけておきましょう。

面談ゴール100%は
本当にスゴいのか?

プレゼンテーションや営業をする際の目的は、より多くのお客様に商品の価値を届けること、商品を買って満足してもらえる人を増やすことです。それを踏まえた上で、各人の目標が管理できている会社では、お客様と面談をするごとに、どのような結果を得られているのかを計る「面談ゴール」が存在します。

ここで問題になるのが、面談ゴール達成率100%の人が出てくることです。「100%なんて素晴らしい」と思ったあなた、ちょっと待ってください。現実的に考えてすべてのお客様に対して思い通りに進むことはあり得ません。

「面談ゴール」には、「うまくできない箇所を見つける」という目的があるのに、「話ができたから○」「見積もりを渡せたから○」と、面談ゴールの水準を下げることによって、達成率100%をクリアして満足する。これでは意味がありません。このケースは、面談ゴールを100%達成することが目的になってしまい、本来の活動の意味を見失っているパターンです。

目的を達成するために、目標がうまく機能しているかどうか。これを判断するには、俯瞰して物事を見る「ダブルループ的なアプローチ」が重要になってくると言えます。

あなたも、目標を設定するとき、本来のゴールに向けて背伸びをしたものになっているでしょうか?もう一度振り返ってみてくださいね。

ここでは、会社でリーダーの立場にいる人に向けてアドバイスを。

チーム内で個人目標を決める場合、多くの人が「どの水準で設定すれば良いのか?」と頭を悩ませることになります。人によって感じ方が違うので大変ですよね。ある人にとっては魅力的で挑戦しがいのあるものでも、別の人にとっては難しくて達成できる気がしない…ということが起きてしまうからです。

思考がバラバラのメンバーを束ねていくためには、「魅力度(達成したい)」を高め「実現できる可能性(できそうだ)」を感じさせるためのシナリオづくりが重要になります。より難易度の高い目標でも挑戦したいと思えるように促すのが、マネジメントの腕の見せ所なのです。

チームスポーツを見ても分かるように、勝負を決めるのは実力ある人の頑張りです。強いチームであれば力量のある人に大きな役割を持たせているはず。このスタイルは企業経営でも同じこと。役職が上がり、責任を持った人ほど太い柱になろうとしている企業は強いのです。

目標設定をするにしても、力量のある人とない人の設定を同じ水準にするのは、平等ですが公平ではありません。これは「悪平等」です。企業で目標設定をする際は、各部署、各人の今の実力を見極め、難易度が同じになるように調整することが大切です。

みんながポテンシャルをフルに発揮できる目標を組み立てられるようになった時、大きな結果に繋がっていくに違いありません。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。