クラブへの騒音苦情に痺れを切らしたイギリス政府、勇気ある決断。

想像してみてください。

あなたの暮らしている部屋では、夜中にもかかわらず、近所のバーから音楽が聞こえてきたり、スピーカーの振動を感じたりします。どうしても眠ることができないとしたら、あなたはどこに苦情を出しますか?

大家さんに相談しますか?それとも、バーに電話をしますか?いずれにせよ、日本においては、騒音を出しているとされる場所が、環境基本法に基づいた対応を求められるようです。

では、バーがオープンした時期よりも後に移住してきた人が、苦情を出した場合はどうなるのでしょうか?

これもまた、日本の決まりではバーが対処するべきなのでしょう。だけど、去る1月18日にイギリス政府が発表した声明によれば、イギリスにおける先のケースでは、住宅開発者たちに<騒音苦情の対処>を求めるようになるとのこと。

どうやら、その背景には“自国の文化”を保存したいという気持ちがあるようです。

時代を重ねるごとに
消えてゆく「ナイトライフ」

カンタンに状況を理解するために、「Ministry of Housing, Communities & Local Government」のSajid Javid氏のコメントをみてみましょう。

「私はいつも不公平だと考えていました。後から住宅が開発されたケースでも、そこからの騒音苦情の対策を講じなければいけないのは、先にいた音楽会場だということに」

彼の発言から、どんな状況であっても、イギリスではクラブやパブ、ライブハウスが気を使わなければいけないことが推測できます。これに伴い、防音対策のコストがかかってしまい、「閉業」を選ばざるおえないお店も数多く存在するようです。

例えば、BBCの調査によれば、2007年〜15年の間に、43%の音楽会場が閉業になってしまったのだとか。詳細な理由は分かりませんが、騒音苦情が一因となっている可能性もあるでしょう。

加えて、パブやバーは、イギリスの代名詞でもあるような世界的に有名なカルチャー。たくさんの人たちの憩いの場であり、新しい出会いの場でもあります。そんな彼らのアイデンティティーが失われていくような気分だったのかもしれません──。

そこで、イギリス政府は、「新しく引っ越してきた人からの騒音に関する苦情は、アパートなどを開発した人が責任をもって対応するべきだ」という内容の声明を発表しました。おそらく、全ての責任を音楽会場に押し付けないようにするために。

ロンドン市長Sadiq Khan氏は、このように語っています。

「ロンドンのナイトライフは、世界的にも有名です。パブやクラブ、ライブハウス、LGBT+のスペースを守るということは、ロンドンに暮らす人たちに快適な睡眠とともに、音楽を楽しむ機会を提供できるでしょう」

イギリス政府の決断には、おそらく賛否があると思います。日本政府が同じことをしても、意見は割れることでしょう。だけど、たった1点、その国のユニークな文化を保存するという意味においては、評価されるべきなのかもしれません。

料理教室やウォーキングクラブに行くことを処方箋に書けるようです。
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