21人の寝起き“すっぴん”女子がかわいすぎる。
女性のありのままの美しさを引き出すことを得意とするフォトグラファー・花盛友里さん。そんな彼女の最新作となる写真集『寝起き女子 girls in the morning』が1月27日に発売されました。
そこには、朝のやさしい光をまとったごく自然体の女性たちの様子が。“インスタ映え”や“加工”が欠かせないキーワードとなっている現代において、彼女はなぜ無防備な「寝起きの女性」を撮り続けるのでしょうか?
1983年、大阪府生まれ。中学時代から写真の楽しさに目覚め、2009年よりフリーランスとして活動開始。女性誌や音楽誌、広告などで主にポートレートの撮影を手がける。2014年に出産、一児のママに。同年、自身初の写真集『寝起き女子』を、2017年5月には女子のためのヌード写真集『脱いでみた。』を発売。今年1月末には、新しいかたちで生まれ変わった『寝起き女子-girls in the morning-』を発売するなど活動の幅を広げている。Instagram @yurihanamori
寝起き女子を撮り始めたキッカケ
――花盛さんが「寝起き」という切り口で、女性の魅力を伝える理由はなんですか?
花盛 私が寝起き女子を撮り始めたのは2012年頃。当時はメイクが濃い女の子があまりにも多かったんです。街で女の子の撮影をしていたとき、たびたび化粧落としで顔をこすりたくなる衝動に駆られてしまったぐらい(笑)。メイクを落としたら、もっとキレイになるのにもったいないなって思っていました。
化粧を重ねることでキレイになるのではなく、もっと素の自分を見つめることを大事にしてほしいんです。「ありのままの自分がキレイ」だと思える女性が増えてほしいなって。
――素の自分にコンプレックスを持つ女性も少なくないと思うので、その姿を好きになれたらステキですね。
花盛 もともと友達の寝起き姿を撮るのが好きだったので、その延長で作品としての「寝起き女子」を撮るようになりました。「着飾らない姿ってこんなにかわいいんだよ」ってことを伝えたかったんです。
銭湯で同性の身体を見てしまうのって私だけ?
――花盛さんが被写体として女性ばかりを選ぶのはなぜですか?
花盛 なぜだか昔から男性より女性を撮影することに興味があって、自然と女の子ばかり撮るようになっていました。自分と“一緒”だからかなぁ。
男性たちは、「仕事ができる」とか「ステータス」だとか、相手に尊敬できる部分があると同性に魅力を感じたりするのかなと思いますが、女性って必ずしもそうじゃない。そういうのを全部なくしても、ただただキレイだからというだけで同性に憧れるんじゃないかなって思うんです。
――はい。私自身も女性なので、その感覚は理解できます。
花盛 あと私、銭湯とかで他の女性の身体をつい見てしまうんですが、それって私だけですかね(笑)?
――私も見てしまうことがあります(笑)。
花盛 「あの人の身体キレイだな」って、見とれてしまうみたいな。これも男性とはちょっと違う、女性特有の感じ方なのかもしれません。
――花盛さんのファンは女性の方が多いそうですが、みなさん同じような感覚を持って花盛さんの写真を見ているのかもしれないですね。
花盛 写真集は意外と男子にも多く購入されているのですが、反響は女性からのほうが多いですね。Instagramのフォロワーさんは圧倒的に女性が多くて、写真集が発売される前にアップした寝起き女子のカットにも多数の反応をいただきました。
寝起きを見られるのは「特別」なこと
――花盛さんが「すっぴん姿」ではなく、あえて「寝起き姿」に魅力を感じる理由はなんですか?
花盛 寝起きって当たり前に毎日くる瞬間だけど、寝起き姿を見られるのって、すごく特別な間柄の人だけだと思います。すっぴんは遅刻しそうなときとか、他の人にも見せることがあるかもしれないけど(笑)。寝起きの顔を見せるのは親密な友達だったり、恋人だったり、家族だったり、限られた人だけですよね。
今回の写真集の帯に書いた「次にこの顔を見るのは誰なんだろう」というキャッチコピーも、寝起き姿が「特別」なんだってことを表しているんです。
写真はモデルさんの自宅に伺ってその子の部屋で実際に撮っているので、その特別感を空間と合わせて表現しました。この姿を見られるのは私だけっていう「独り占め感」が見ている人にも伝われば嬉しいです。
――なるほど。モデルさんたちの魅力をより引き出すための、花盛さん流の撮り方ってありますか?
花盛 これといって特別なことはしていないんです。みんなそのままで十分にキレイだから。しいて言えば、「朝起きたら一番に何する?」とか雑談しながら、その子と自然に仲良くなるようにしているぐらい。友達が遊びに来たような感覚を相手に持ってもらえるようにしています。
――写真集『寝起き女子 girls in the morning』を通して一番伝えたいのは、どんなことですか?
花盛 みなさんが大切な誰かの寝起きを見るときに、「これは特別なことなんだ」ってちゃんと毎日味わってほしいなと思います。今日この場所でこの人の隣で起きられたこと、相手の寝起きの顔が見られたことは、今この瞬間、自分にしか見られないものです。
恋人でも家族でも友達でも、「おはよう」が言えるのって幸せなことだと思うんですよね。
――最後に、これから花盛さんが撮りたい女性像を教えてください。
花盛 これまでの『脱いでみた。』同様、女性のヌードは撮り続けていきたいテーマのひとつですね。なぜなら私が年齢を重ねて成熟することで、より奥深い写真が撮れる気がするんです。
ここ最近始めたばかりのマタニティヌードも、毎回「なんてキレイなんだろう」って感動しながら撮影しています。そんなありのままの美しい女性像をこれからも切り取っていけたらと思っています。