車イスに制限されたりなんかしない。誰だって世界を旅できる。

ケヴァン・チャンドラーさんは、体が思うように動かなくなってしまう「脊髄性筋萎縮症」という難病を抱えており、普段は車椅子で生活しています。

そんな彼はいま、世界中を旅するバックパッカー。ときにはフランスのダンスパーティで踊り明かすことも。

でも、ちょっと変わっているのは……

自身が「バックパック」になって旅をする

2015年夏、アメリカ出身のケヴァンさんを含めた7人の友人グループが、ヨーロッパ周遊旅行を計画しました。しかしその旅の問題点は、彼が車椅子だったため、行動範囲がバリアフリーな場所に限られてしまうこと。

そこで友人たちは、ケヴァンを背負うための、オリジナルのバックパックを作ることに。そうすれば、体の事情に制限されることはありません。

クラウドファンディングサイトでの資金調達や、バックパックのデザインに費やした時間は1年ほど。このプロジェクトはのちに「We Carry Kevan」としてCNNやFox Newsをはじめとする多くのメディアで紹介され、世界で広く知られるようになりました。

2016年春、ケヴェンさんは車椅子を空港に残し、フランスへ旅立ちました。そこから始まったのは、友人の背中に乗ってのヨーロッパの旅。

フランスの次はイギリス、アイルランドと、各国の都市や田舎町を訪れました。

彼らは、次に中国への旅を計画しているそうです。

中国では、孤児や、ケヴァンさんのように生活に難を抱える子どもたちが集まる施設を訪問する予定なんだとか。そこには、「人生は可能性に満ち溢れている」ことを自分の経験をもとに子どもたちに伝えたい、というケヴァンさんの思いがあります。

この記事を書くにあたってのケヴァンさんとのやりとりで、彼はこのように語ってくれました。

「なににも縛られることなく、自由に生きられる人間なんていない。でも、何かを作り出す力と、勇気と、仲間がいれば、その不自由さを取り除いて、可能性を引き出すことができるんだ」

このプロジェクトの目的は、アクセシビリティの概念を変えること。

年齢や体の事情で行動が制限される人たちを救えるのは、手すりやエレベーター、道路の舗装だけではない。いちばん大切なのは、人が人を助けること

技術の発達によって、合理性が重視されるようになったこの世の中で、私たちが決して忘れてはいけないことを、「We Carry Kevan」は教えてくれている気がします。

Licensed material used with permission by We Carry Kevan Inc.
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。