「母になる」ということ

 

まわりの友だちはすこしずつお母さんになりはじめているし、「将来的には子どもがほしいな」と考えたりするけれど、自分がお母さんになった姿なんてまったく想像がつきません。そもそも「お母さんになるってどういうことかわからない」というのが正直なところ。

だけど、わからないなりにすこし考えてみようと思ったんです。きっかけは、本屋さんでふと手に取った、フランス出身のフォトグラファーVincent Ferranéの写真集『MILKY WAY』でした。

収録されているのは、Vincentさんの奥さんと、生まれて間もない赤ちゃんの授乳シーンをとらえた写真の数々。

授乳という行為になじみがないわたしは、これをみて、まず、「授乳はお母さんにとってどういうものなんだろう?」と思ったんです。そこで、2歳男児のママである職場の先輩に聞いてみたところ、こんなアンサーが返ってきました。

お母さんと赤ちゃんの
濃密なコミュニケーション

 

母乳って、血液と同じようなものなの。血液を吸い取られるというか。だから、それだけで赤ちゃんを育てているときは、1日5食とか食べたりしていた。食べて、吸い取られて、食べて、吸い取られて。母乳ファクトリーかってね(笑)

最初の1ヶ月は、吸われるのがすっごく痛かった。でも赤ちゃんにとっては唯一の生命線で、必死でくらいついてくるものだから、こっちは必死で耐えて。ただね、授乳って、赤ちゃんとの濃密なコミュニケーションの時間でね。しかも、ほんとに親子それぞれ。ふたりでふたりなりのスタイルをつくっていく感じ。だから、授乳期間が終わるときに、寂しくって、泣いちゃうママもたくさんいるのよ。

 

たしかに、Vincentさんの写真からも、お母さんと赤ちゃん、ふたりの必死感はすごく伝わってきます。全体的にやわらかい雰囲気をただよわせながら、母乳でつながっているふたりの間には、何らかのせめぎ合いがあるように感じます。

命をかけて、命をつなぐ

 

まだまだわからないことだらけです。でも、授乳というキーワードから紐解くに、お母さんになるってこういうことなのかな。わたしなんかが計り知れないような、いろんな痛みに耐えながら、命をかけて、新しい命を生み、育てる。ただ、その新しい命は、「どんな痛みもぜんぜんへっちゃらだ!」ってくらい、とってもとっても愛おしくてたまらない存在なのでしょう。

 

かく言うわたしも、お母さんが命をかけてつないでくれた命なわけで。

もうすぐ迎える24回目の誕生日。いままではお祝いしてもらってばかりだったけれど、今回は、お母さんにひたすら感謝する1日になりそうです。

 

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