「こういう人」が、フリーランスでも成功する。

やりたいことや好きなことはわかっていて、将来は、フリーランスとして活躍したい。そんな方のために、どうしたら長く心地よく活躍できるのか、天職(calling)の研究事例の中から、3つのアドバイスをご紹介します。

専門にこだわりすぎないで。
柔軟性がポイント◎

自分の仕事を天職だと思っている人は、迷いがなく、より高い目標を掲げ、目標達成に向け努力する傾向があります。そのため、早く昇進できたり、仕事で成功できるパターンも多数。

一方で、アムステルダム自由大学のEvgenia I. Lysova助教授らが、オランダ人を対象に行った調査結果ではこんな結果が。

今の仕事を天職だと思っている人は、“その仕事をしている自分”こそ、本来の姿だと思っています。

そのため、たとえ収入が減っても、他の仕事を探そうせず、柔軟性に欠け、天職だと思っていない人よりも雇用されにくいのです。

大好きな仕事でも、収入額やニーズの問題で主軸にすることが難しい場合には、2番目にやる気がわく仕事や、自分の専門に関連がある仕事にもチャレンジしてみましょう。

視野が広がるだけでなく、相乗効果が生まれ、収入も安定しやすいので、心に余裕が生まれます。2番目の仕事がうまくいけば、必ず天職と思っている仕事もうまく進み始め流でしょう。

出典:Evgenia I. Lysova, et.; Examinating calling as a double-edged sword for employability, Journal of Vocational Behavior(2018) 261-272

長期的な視点を持って、
周囲とうまくやっていきましょう。

Oxford大学のSally Maitlis教授らが、「この仕事が天職だ」と思って働いている50人(動物シェルターに勤める)を対象に、長期でインタビュー調査をしました。

教授らは、職場で遭遇する困難に対し、彼らがどう対処したかを分析しました。困難というのは、安楽死を見るのがつらい、 3Kワーク、経営者や同僚との価値観の違いなどです。

その結果、50人は<3つのタイプ>に分かれていることに気づきました。

【タイプその1】
アイデンティティー志向タイプ 

アイデンティティータイプは、動物を相手に仕事をする天賦の素質があり、動物のために貢献する自分が、自分そのものだと認識しています。

それゆえ、同僚の動物への接し方が許せなかったり、理想を追求して孤立した結果、動物に関する別の仕事に転職するケースが多かったです。

【タイプその2】
貢献志向タイプ

貢献タイプは、動物への接し方について高いスキルがあると認識しています。

困難に遭遇し、自分の仕事へのインパクトが低くなるにつれ、自分には高いスキルがあり、貢献したいという思いが強くなります。

自分のスキルが活かせる別の分野で貢献したいと考え、環境団体や自然保護といった動物愛護に関連する別の分野へ転職しました。

【タイプその3】
プラクティス志向タイプ

特に才能、技能はないけれど、動物が好きで、動物について学びたいという情熱があるタイプです。

動物への情熱は強いものの、自己実現や貢献度への執着はなく、職場のトラブルにも大きなショックもなく、むしろ学び・成長の機会ととらえました。

同僚とうまくやり、動物への愛という情熱から、徐々にチームを引っ張っていくようになり、時間をかけて変化をもたらしながら、業界にイノベーションをもたらすような成果を挙げます。


自分はアイデンティティー志向タイプ、貢献志向タイプの傾向があると思う方は、少しぎくっとする研究結果だと思います。

好きなだからこそ思い入れや自負もあり、ついつい自意識過剰になったり、短期的な結果をだそうとしてしまいがち。

けれど、一緒に仕事をする仲間やお客様と良い関係を築くこと、時間がかかっても、みんなで良い成果を出すことを意識することが、何よりも大切なのです。

出典:Kira Schabram, Sally Maitlis (2013),Negociating the challenges of a calling: Emotion and enacted sensemaking in animal shelter work. "Academy of Management Journal 2017, vol 60, No.2 584-609

仕事のあとは、
OFFモードに切り替えましょう。

自分の仕事を天職だと強く思っている人は、ついついワーカーホリックになり、仕事が終わった後も、仕事のことを考えているケースが多いそうです。

そこで、Kings CollegeのMichael Clinton准教授等は、天職感が強い人は睡眠に影響があるのではないか?と仮定し、イギリスで聖職についている人を対象に、<天職と眠りの質の相関関係>を調べてみることに。

その結果、天職だと強く思っている人は、仕事をする時間がより長く、プライベートでも仕事の事が頭から離れにくく、睡眠の質がよくないという結果を発表しています。

睡眠の質が良くないと、活力の低下にもつながります。

いくら好きな仕事とはいえ、こんな状態では良い仕事を世の中に提供できなくなります。

また、ワーカーホリックになると、家族団らんの食事の際も仕事のことを考えていたり、あなたの家族や友達をおろそかにしてしまいがちです。

仕事の質を上げるためにも働きすぎず、仕事とプライベートの切り替えを意識しましょう。

出典:Clinton, M. E., Conway, N.,&Sturges, J.(2017) ;"It's tough hanging up a calling". The relationships between calling and work hours, psychological detachment, spleep quiality, and morning vigor.JOURNAL OF OOCUPATIONAL HEALTH PSYCHOLOGY, 22(1),28-39. DOI:10.1037/ocp0000025
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