ドイツ在住、wasabi、26歳。コネも経験もないけどフリーランスへ

就職活動の良し悪しについては、さまざまな意見がある。

リクルートスーツしかり、情報解禁日に一斉に活動をスタートすることしかり、双方に便利な点も多いからこの形式が続いているのだろうが、就職にどう向きあうかは個人それぞれ。極端な話、就職をするかしないかも(本当は)個人に委ねられている。

今回は「就職しない」という選択をした、ある人物を紹介しよう。

「よし、ドイツに行こう」

藤沢祐子さん、通称 wasabi(わさび)さんは、ドイツ・ベルリンに暮らす26歳。

大学を卒業して以来、会社に属してはいないフリーランスだ。ブログを中心に、翻訳・ライター・ウェブ制作・移住希望者のサポートなど様々な顔を持って忙しく活躍している。

自宅やカフェなどで仕事をするノマドスタイル。時には深夜まで仕事に集中したりもするが、週末はベルリンのナイトシーンも満喫するなど、実に健全に、のびのびとしたライフスタイルを送っている。

「全くひとりぼっち」
からのはじまり

彼女は日本の大学を卒業後、就職を選択肢から外し、たったひとりでドイツに渡航した。この「ひとりで」の意味は、体ひとつというだけでなく、住む家や勤め先、又はそれらに繋いでくれるエージェントのように、ベルリンという街と彼女をコネクトする線が何もない状態だった、という意味だ。

実際多くの人に「そんなの無理だよ」と言われながら始まったという海外でのフリーランス生活だが、彼女はすでに丸2年、自身の力だけで生き延びている。

いや、生き延びるどころではない。持ち前の明るさと好奇心によって、多方向での活躍が次々に開花。国内外の企業や団体など、クライアントを増やしながら積極的に貢献している。

「誰かのために」は
自分のためにも

wasabiさんはブログやSNSを日常的に更新し、積極的に発信を続ける。まだ知らない人が多いベルリンの最新情報や、かゆいところに手が届くような便利な情報、彼女自身の気づきや学びなど、「誰かのためになる」であろうことを夢中で伝え続けてきた。

そこに助けられ、また共感した人たちの中には、「自分も海外で夢を実現したい」と願う人も多く、一時帰国して開催したセミナーは毎回満員になる上、今年からはオンラインサロンも開講になった。

伝えたいことは
「多様な生き方」の肯定

wasabiさん自身は日本に生まれ育ったものの、小さな頃から様々なことに疑問を感じ、息苦しさに悩んだことも多かったという。しかし興味深いのは、海外生活を始めたことで日本社会とのコネクションが強まったということだ。

管理主体のシステムに巻かれることよりも、「個」としての独立を選ぶ。

来日中に行われたwasabiさんのセミナーでも、独自の視点を養うことの大切さや、自分の価値をきちんとプレゼンテーションするための工夫を惜しげもなく披露していたが、彼女が他のフリーランスと異なる点は、こういった精神性の高さもあるのだろう。明確な理由もなく「そういうものだから」と片付けられがちなことに対して、彼女は疑問をぬぐいきれず、ならば多少のチャレンジをもってしても自分の信じる方法を試したい。

だから、たとえ仕事でハプニングがあっても歯を食いしばれる。しんどい状況も乗り越えられる。ひとつのことをきっかけに縁が次々と広がっていくのも、ただ単純に彼女がツイるからではなく、日々積み重ねている影ながらの努力と、欠かすことない豊かな想像力がもたらす成果だ。

心地よく住む場所、自分に適した仕事、新たな興味、水の合う街、思いを共にする仲間と距離を感じさせないサポーターたち。

肩に力が入りすぎていない、地に足の着いたwasabiさんの行動一つひとつが確実なつながりを生み、いまの彼女を輝かせている。

「世界は本当に多様であり、個人の生き方も多様であれば良い」

そう言ってオルタナティブな生き方を示す彼女は、もうひとりぼっちではない。社会に何かしらのソーシャルインパクトを与える「インフルエンサー」なのだ。

既存の価値観にとらわれない彼女の生き方から、あなたの理想の姿を見つけることもできるかもしれない。

写真/取材協力:wasabi
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。