アノ瞬間、リングの上で性を超えるエクスタシーを感じる。プロボクサー高野 人母美インタビュー

「エロ」は、人々の妄想を掻き立てるもの。

そこに宿るファンタジー性は、人間の可能性を切り拓く創造力、そして想像力を大きく高めてくれる大切な要素なはずです。この特集では、エロスとファンタジーの密接な関係について、様々な舞台で活躍する「表現者」にオープンマインドで語っていただきます。

第2弾は、プロボクサー・高野人母美(たかの ともみ)さん。モデルとしても活躍する彼女の中にある「美学」と「エロス」とは。戦うことと、魅せること、そのハザマにある本能的な「性」に迫ります。

高野 人母美(たかの ともみ)

プロボクサー。第2代OPBF東洋太平洋女子スーパーバンダム級王者。2011年、ミス・アース日本代表ファイナリストに選出されるなど、9頭身のプロポーションを活かしてモデルとしても活動中。現在、アメリカのボクシングライセンスを取得し、海外での試合に向けてトレーニングに励む。

戦う肉体と、魅せるカラダの両立

©TOMOMI TAKANO

幼少の頃より、打ち込んできた水泳とサッカー。中学入学と同時にそれを辞めたとたん、「自分の中にぽっかり空洞ができた」と振り返る高野さん。このままではダメになる、とキックボクシングジムの門を叩いたのは15歳の時でした。

思春期真っただ中にありながら、どんなに夜遊びをしても土日の朝だけは必ずジムに通うと心に決め、信念を曲げずに続けること7年。そして、ボクシングへと転向。2013年、プロの道を歩み始めました。

持ち前の美貌と日本人離れした9頭身のプロポーションで、モデルとしても活動を続ける高野さんに、まずは肉体美について質問をしてみました。

──プロボクサーでありモデル、一見相反する美意識がそこにあるように思えるのですが、戦うための肉体と、モデルとしての魅せる体。目的の異なる体づくりってどうしてるんですか?

 

デビューしたての頃は葛藤がありました。両立しようとなれば、筋肉をあまりつけたくないっていう意識もあって。でも、今は「魅せる」ってことを特に意識した体づくりはしていません。とにかくボクシングを第一に考えていますから。強くなりたいっていう気持ちしかないので。魅せる筋肉よりも、使える(動ける)筋肉をつけています。

その体型を必要と言ってくれるクライアントさんもいるので、この体でモデルとしてのお仕事もさせていただいています。ただ最近、筋肉量が増えてきて肩幅も前と比較にならないほどがっちり。用意された洋服が着れないなんてこともあって、ちょっと焦ります(笑)。

デビュー当時はスーパーフライ級(52kg)だったんですが、しょっちゅう減量に失敗していましたよ。

 

──減量は厳しかった?

 

体重は落とせるんです。だけど必要な筋肉も落ちてしまう。当時はプロの体づくりをまったく理解していなかった。モデルでボクサーという物珍しさから、多くのメディアで取り上げていただいて。名前だけが先行して。完全に調子に乗っていましたからね。

ボクシングにおいては、筋肉量を落となさいように体重だけ落とす、これが鉄則。モデルのお仕事の場合、体重はそれほど関係なくて、重要なのは見た目。極端な話、筋肉ムキムキだっていいんですから。

 

──では、内面的なものは? 戦うことにおいて、自分をどう奮い立たせていますか? 対戦相手をイメージしながらスパーリングやシャドーをすると思うのですが、それって妄想の極致なんじゃないかって。

 

もちろん、試合が近くなったら対戦相手の資料をチェックしますが、普通のスパーリングでは目の前にいる相手のことだけ。いかに練習してきたことが実践として活かせるか、といったくらいです。

 

──意外でした。つねに仮想敵の印象だったので。

 

逆にイメージというよりも、モチベーションとなるものが大きいかもしれません。ボクシングの世界に入り、プロになるキッカケをくれた山上哲也会長(現在山上ボクシングジムは閉鎖)にベルトを巻いている姿を見せたい。その姿を想像して気力を奮い立たせています。

会長もだいぶ高齢なので、早く見せてあげないと。だから「あと5年は現役」なんて、のんきなことは言ってられなくて。

恋愛はもっぱら“妄想”で楽しんでいる

©TOMOMI TAKANO

 

──ストイックな印象が伝わってきますね。プライベートも充実している?

 

恋愛って意味でいうとしてません。今はそんな場合じゃなくボクシングにすべてを捧げようって決めましたから。

 

──恋愛禁止!?アイドルグループみたいな話ですね。

 

私、すぐにフニャフニャの骨抜きになっちゃうんです。昔からそう。ひとつごとにフォーカスすれば、それに対して真っ直ぐ。だけど横槍が入ると、そっちに気持ちが持っていかれちゃって。100%出さなきゃいけないところで出せなくなる。

一度だけ、試合前にある男性のことを好きになって。大事な試合だったんですね。別に彼を呼んだわけではないのに、その試合を見に来てくれてたんですよ。いいパンチが入って、対戦相手からダウンをとってコーナーに戻った時、ふと目に入っちゃったんです、彼が。その瞬間、ぽわ〜ん♥ってなっちゃった。もう視界がすべてピンク色、みたいな(笑)。

結局、逆転負けですよ。試合中にも関わらず「もうどうでもいいっ!」って。完全にオンナに戻っちゃったんでしょうね。その苦い教訓があるので。

 

──だけど、それで気持ちは収まるもの?理性を本能が凌駕してしまうようなことってあるんじゃないですか?

 

そこをうまく理性でコントロールしていくのがプロなんでしょうね。本能を剥き出しにしなきゃいけない場面でそれができない、というわけにはいきませんから。なので今は、もっぱら妄想で恋愛を片付けてます。

例えば、この間映画に出演したとき、恋人役の男性俳優さんとキスシーンがあったんです。「ああっ、これこれ!」って。勝手にその人を恋人に見立てて、収録期間中だけの疑似恋愛を楽しんだりして。バカでしょ、私。でも馴れてくると、意外に妄想でも恋愛できるものだなあって。

 

──妄想だけに留める、別のスキルが必要そうですね(笑)。だけど、性欲はまた別物のように思えますが……。

 

そりゃ私だって女ですから。正直に言えば、恋愛するよりワンナイトとかの方が楽。人生の中にオトコっていうものが入ってくると、どうしても骨抜きになってしまう。だけど、大切にしなければいけないのは今の自分自身です。相手のことを考えてしまうと、ボクシングに集中できなくなってしまいそうで。だから、遊ぶときは徹底的に遊ぶ。これに尽きますね。

セックスはヒザにくる。
これ、ボクサーの定説です

©TOMOMI TAKANO

 

──性欲すらも自制できてしまう意志は、キツい練習や減量に耐えるボクシングの賜物?

 

性欲に関しては、男性みたいに「したい」という剥き出しの感情はないかも。とにかく朝から晩まで体を動かしているので、夜はもう疲れちゃって(笑)。今いるメキシコシティでも、男性は声かけてくるし、デートに誘われるけど、そこでしてしまったら、朝イチのロードワークであの10キロの山道は絶対ムリだろうな、スパーリングでヒザが持たないかもって思うと、抑止力が働くように体が覚えちゃったんでしょうね。

 

──腰、でなくてヒザなんだ。

 

これ多分、ボクシング界における定説。男性ボクサーの友だちも多く、よくそういう話になりますが、みんな言ってますもん。「試合前のセックスはとにかく膝にくる」って。

 

──やっぱり試合前には禁欲とかするんですか?

 

もちろん。快楽を感じてしまうと、きっと脳がそっちを優先してしまうんだと思う。女の場合はとくにマインドにきます。要するに、オンナに戻ってしまう。戦闘モードに入れなくなっちゃうんですよ。

肉体的なことも言えるかな。冗談抜きにセックスしただけで翌日まったく力が入らないんだから。ヒザから砕けてしまう感覚です。結局、効率的にトレーニングするならば、止めておくという選択しかないんだと思う。

ボクサーって、無駄に忍耐だけは備わってるものだから、ON/OFFの切り替えが利くんだと思います。たとえそれが性であっても。我慢しなきゃって思えば、こらえることができてしまう。

 

──自分を律することって、なかなかなできるものではないのに、ルールと決めて行動できる。こうしたマインドセットの背景には、どんな想いがあるのでしょう?

 

それをすることによって、自分が崩れていくのが想像できてしまうからですよ。私だって強い人間じゃない。一度でも許してしまったら、繰り返しちゃうもん。そうすると、積み上げてきたものがガラガラと崩れてしまう。それがいちばん怖いんです。

性を超えるエクスタシーを覚えた瞬間

©TOMOMI TAKANO

 

──ところで、高野さんにとっての「快楽」って何なのでしょう?

 

すごい緊張状態のなかでリングに上がる。ラウンドごとに体がほぐれてくる。バチンと自分のいいパンチが相手に当たった時に、もうアドレナリンが大放出ですよ。むわぁーーーーー!って快感が走りますね。

いいパンチが相手のアゴに入った時って、骨がずれる音が聞こえるんですよ。拳で感じ取るっていうのかな。その瞬間がたまらない。

 

──性を超越したエクスタシー、みたいな?

 

きっと本能なんでしょうね。もちろん試合に勝つことが重要ですし、それも嬉しいんだけど、勝ち負けよりもそっちの方が大きいかも。性欲よりも興奮っていうか、ありますね。危ないですか?私。

 

──肉体を使って表現するという意味において、モデルの活動でも同じようにエクスタシーを覚えることがありますか?

 

本能的なものとは別物ですが、カメラの前に立てばモードが切り替わるようなところはあります。アドレナリンがぶわっと出るのは写真やCMなど出来上がりを見せてもらったときですね。

ボクシングで鍛えた体を必要としてくれ、自分の貫く信念を見てくださる人が「カッコイイな」とか、「こうなりたいな」って思ってもらえたら最高じゃないですか。

「Make Love」には妄想力が必要

──奔放そうに見える高野さんの恋愛観は?

 

今拠点が海外なので、こちらでは当然レディファーストだし、ボディタッチも多いわけですよ。そういうちょっと優しくしてもらったとき、たまにキュンとなっちゃったりします。「おっといけない、抑えなきゃ」みたいな。ボクシング一本とか言っときながらね(笑)。

もともと、性に対してもオープンマインドな性格ですけど、なんでもいい、というわけではないんです。男も女も、まず第一に相手ありき。きっと、自分よりも相手に気持ちよくなってほしいっていう感覚が大事だと思う。自分本位にならず、尽くすことが「メイクラブ」だっていう認識です。

 

──パートナーへの配慮に加え、想像力も必要ということ?

 

これってとっても大切で、尽くしてくれるとこちらも気持ちがほぐれてきて、相手にもこうしてあげたいって思うようになるもの。セックスって、好きとか嫌いではなくて、相手を慮って、気持ちよくさせてあげて、自分もハッピーで満たされて終わっていくのが、しなやかな段取りだと思うんですよねぇ。

「Make Love」とは、よく言えたもで、妄想を自分にだけ向けていては、単なる自己満足に過ぎない。でも、メイクラブにおける妄想というかイマジネーションは、その矛先が必ず相手に向いているんじゃないかな。独りよがりじゃ無理ってことです。

日本は性において、まだ鎖国状態だと思う

©TOMOMI TAKANO

 

──日本も、海外も(いろんな意味で)経験された高野さんは、日本での「エロ」の捉えられ方をどう見ますか?

 

うーん……あくまで主観ですけど、「亭主関白」とか「家父長制度」とか「女は三歩下がってついていく」のような。平成も終わるっていうのに、未だにそういった旧態依然のカルチャーがDNAのなかに染み付いているのかもしれませんね。セックスも「お父さんのいうことを聞け!」みたいな。

もちろん、情報過多になり過ぎて本当に必要なことが見えづらくなったり、相手のことを考えられなくなった社会に変化していることも原因でしょう。イメージが乏しかったり、ヘンな妄想ばかりしたり、羞恥心が出るのって、結局は大切なものを隠そうとし過ぎた結果なんじゃないかな。

 

──隠しすぎることや、性を語ること自体をタブー視する風潮が、妄想のズレを生んだ。そうすると、性的なものって人間を内へ内へとしか持っていくことができませんよね。

 

きっと周りから引かれたくないんでしょうね。だって性においては未だに鎖国状態じゃないですか、日本って。他人の目を気にしすぎなんですよ。もっと自分の欲に素直でいいと思うけどなあ。

エロって、体にまとわりつく
キレイな「ドレープ」みたいなもの

©TOMOMI TAKANO

 

──そんな高野さんが思う「エロ」とは、どんなイメージですか?

 

エロ=「クール(COOL)」かな。私の中ではカッコイイものです。なんていうのかな、黒とかグレーで、とにかくカッコイイ印象。英語では「ホットな女」なんて表現するけど、髪をぐちゃぐちゃってかき乱すような、ああいったイメージです。

 

──ポジティブな印象ですけど、そこに「美しさ」みたいなものも内在する?

単なる快楽を求める手段とは思いません。もっと感覚的で、キレイで、ふわふわっとしていながら、体にまとわりつくドレープみたいな感覚。いつでも近くにあって触れていられる存在というのかな。

 

──そうそう、高野さんといえば、試合前検量でのセクシーすぎる仰天パフォーマンスも話題ですよね。アバダーに扮したかと思えば、白無垢で登場したり、首にニシキヘビ巻いてきたり。あれもエロいっちゃエロい。あの演出って、アドバイザーとかいるんですか?

 

全部ひとりで考えてます。ロードワーク中に毎回アイデアがすーっと降りてくるんですよねぇ。バカでしょ?

私、どんなものにもエンタメというかファンタジー要素が必要だと思っていて。いくら私たちがボクシングに情熱を注いでも、やっぱり興行ですし、そもそも女子は歴史も浅い。だからどんなにおバカなことでも、「またアイツやってるよ」と思われても、高野 人母美だからできるってことをやりたくて。

みんなが少しでも注目してくれて、興味持ってくれて、ひいてはそれが女子ボクシングをもっと知ってもらい、試合会場に足を運んでくれるキッカケになればと思っています。

 

──強さだけでなく、魅せることにおいても自分の表現方法を知っている、高野さんならではの演出だと思っていましたが、深い意図があったわけだ。

 

誰かに決められてやることって、必ず愚痴や後悔が生まれるじゃないですか。だけど、自分で決めたことには納得ができる。だから他人に言われるんじゃなくて自分で決める。それを大切にしています。性においてもね。

Top image: © TOMOMI TAKANO

 

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