「性欲の減退」に悩む男性を救う、新療法に注目!
今、とあるホルモンに注目が集まっている。
名は「キスペプチン」。この物質が人間の“性欲”にどのような影響を及ぼすのか、新たな研究が進行中だ。
というのも、男性の8%、女性の10%が悩んでいるとされる性欲低下症(HSDD)への可能な解決策として、キスペプチンが希望となる可能性が示唆されているから。
キスペプチンは、脳の視床下部から分泌される物質で、生殖において重要な役割を果たしているらしい。キスペプチンが不足すると、思春期の性的な成長の遅れに関与するともいわれる。
研究では、男性にキスペプチンを注射し、そのあとに性的な映像を視聴させながら彼らの脳のスキャンを行った。すると、HSDDが重症な男性ほど、性的興味に関連する脳のエリアが活性化することが確認されたらしい。
注射を受けた男性のうちのひとりは、治療後すぐに変化を感じ、性生活が活発になったとも。結果、初めての子どもを授かり、その後も彼の性への興味は衰えなかったという。
ただ、こうした劇的な結果が一部の人にはみられても、それがすべての男性に当てはまるとは限らない。
キスペプチンが有効だとされているHSDDは、性行為に対する欲望が6ヵ月以上失われている状態と定義されている。それは、単なる勃起不全や早漏などとは異なり、性的な興味自体の喪失を指すということだ。
性の悩みの原因はひとりひとり異なり、自分すら気づいていない潜在的で複雑な問題が絡んでいることも多い。そのため、治療法を選ぶ際には、まずは医者やカウンセラーとのオープンな対話を重ねていくことが必要となるだろう。
そのうえで、性欲低下症と診断されれば、この方法がこのうえなく有効となる可能性がある。先の実験では副作用も報告されなかったといい、研究者は「キスペプチンが世界初のHSDD治療薬になるかもしれない」としている。
まだ研究は実験段階にとどまっているが、パートナーと良好な関係を築き、子どもを授かることにもつながるこの治療法、少子化が進む日本においても期待が膨らむ話題ではないだろうか。