【100円で買った中古本】『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』

国道沿いや駅前の古本屋チェーンの店内にひっそりとたたずむ、たたき売り同然の「100円」の書棚。そんな一角で偶然出会った一冊から、あなたの人生を変えるかもしれない「金言」をほんの少しだけおすそわけ。

今回は、タイトルからしてなんだかマッチョな『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』を紹介してみます。

ちょっと鵜呑みにはできない
反面教師な「男とは」論

今にも北方謙三先生が出てきて「男ならソープへ行け!」(※1)と言い出しそうな、勇ましいタイトルに惹かれて手に取った本書。

そもそも自己啓発本の類(たぐい)を読まないうえに、「一流か、二流か」とか「男だから」みたいな物差しで自分を振り返ったり計ったこともないこちらとしては、なんだかそれだけで新鮮な気持ちになってきます。

著者の里中李生氏は、高校中退後に地方から上京し、様々な職業を経て、作家・カメラマン・競馬ジャーナリストとして成功を収めた人物。

2006年が初出の本書をはじめ、これまでに300万部近くも自著を売っている書き手さんとなれば、なるほどそれは「一流」です。

肝心の本書の中身はといえば、文字通り「一流の男」になるための心得を説いた、いわゆる「なるには本」的な指南書

プロフィール欄にも「斬新で辛口な筆致」とあるように、自信たっぷりで歯切れのいい物言いからは、読者を「啓発してやるぞ」という男気と強い意志がみなぎります。

元来ひねくれ者なこちらとしては「あなたは、まずサドを目指さなければいけない」などと言われると、「……え? えっ?! えぇっ?!」と、つい二度、三度と聞き返したくもなりますが、オールウェイズ強気な里中氏は、そんな読み手の戸惑いなどお構いなし。

「本書では、サド、あるいは、サドになる素質のある男だけを相手に話を進め、マゾはいっさい無視する」

出典:『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』(里中李生 著、株式会社三笠書房)

……と、こちらの気持ちを見透かしたようにあらかじめ異論をシャットアウトしたうえで、こう力強く断言してくれるのです。

「部下にも友人にも女にも、嗜虐性を示す男が強靭に見え、時代と闘っているように見え、それが敬いへとつながる」

出典:『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』(里中李生 著、株式会社三笠書房)

確かに、自分に自信を持てない迷える男子諸兄にとって、断定口調で「男は強引で攻撃的なぐらいがちょうどいい」などと背中を押してくれる言葉はありがたいもの。

「快楽主義は男のロマンだ」

「快楽主義を掲げる男は常に前向きであり、野心があり、貪欲で、そして寛大だ」

出典:『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』(里中李生 著、株式会社三笠書房)

......といったパワーワードの数々には、縮こまりがちだった背中に翼をさずける、某エナジードリンクのような効能すらありそうです。

さらに言葉を抜き出してみても……

「傷をなめ合って遊ぶような友達なんかいらない」

「友達がたくさんいるあなたは、危機感を持ったほうがいい」

「平凡な男たちは駆除されても仕方ない凡庸な男なのだ」

「優秀な男には必ず頭のいい女がついている」

「計画の中には、“女”も入れないと駄目だ」

「モラリストがなんと言おうと、親が嘆こうと、女を諦めてはいけない」

出典:『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』(里中李生 著、株式会社三笠書房)

……などなど、いやはや、どれもハードボイルド

うっかりその気になって読み進めてしまうと、「乳房に顔を埋めるだけのセックスしかできない男たちに、女性社員を引っ張っていく器量があるのか」といった問いかけにも、「そうだ、そうだー!」と諸手を挙げて同意しそうにもなってしまうのですから、言葉の魔力は侮れません。

とはいえ、あまりに歯に衣着せなさすぎて、読む人が読めば不愉快な気持ちになってしまう記述もチラホラ。

「この世でもっとも醜いもの」として「フェミニズムを覚え、それを口走るすべての女」を槍玉に上げ、「粗食」の実践者としての立場から、ファストフード店を「一分でも早く満腹になりたい動物のような人間が駆け込む場所」などと面罵している一文を目にしてしまうと、「一流の男の余裕はどこへ……」と、ちょっと心配にもなってきます。

ちなみに、当連載の第一回でご紹介した『フェイスブックをつくったザッカーバーグの仕事術』にもその名が出てきた投資家ウォーレン・バフェット氏や、かのビル・ゲイツ氏は、生涯無料の「マック・ゴールドカード」を所持しているほどのマクドナルド愛好家として世界的にも有名です。

ブレない持論や信念をもつことは、もちろん「一流の男」の条件のひとつだとは思います。

ですが、その指南&啓発をするために、第三者をわざわざ「下げる」のは、それこそ「男を下げる」のと同じこと。

著者自身も、人付き合いの極意として、「相手の九十%を軽蔑していても、あるいは認められなくても、残り十パーセントの良いところを探して、接する時は、その十パーセントの気持ちでないといけない」と、ちゃんと明言しているのですから、もう少し他者への「サド」っぷりを薄めても、罰は当たらなかったような気がします。

『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』から学ぶべきは……

“女”ではなく“女性”。男の道は「敬意」から!

※1/講談社『ホットドッグ・プレス』にて作家・北方謙三が読者の悩みに答える連載企画「試みの地平線」で何度も使用された定番フレーズ。

『一流の男、二流の男 必ず頭角を現す男の条件』(里中李生 著、株式会社三笠書房)

written by chogetsu suzuki

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