どうして「LUNGE」のスニーカーは、3万円もするんですか?
最近、街でちょくちょく見かける「LUNGE(ルンゲ)」。“ネクスト New Balance”とも評されるミニマルなデザインと抜群の履き心地で、高感度なスニーカーフリークを魅了しているドイツのシューズブランドです。
でも、カッコいいのは認めるけれど、もう少し手を出しやすいプライスだとありがたいのに……。LUNGEを日本に輸入している「バーリオ」の担当者に、こんな質問をしてみました。
「どうしてLUNGEのスニーカーは、3万円もするんですか?」
「唐突ですね(笑)。まずはその歴史から説明したほうがいいかもしれません。
LUNGEはドイツ人兄弟Lars LungeとUlf Lungeがスタートさせたブランドです。二人ともトレーニングを積んでいるシリアスランナー。日本でいえば、宗茂さんと宗猛さんの宗兄弟のようなイメージでしょうか。
もともと『Lunge』というランニング専門のプロショップを国内で運営するかたわら、自身も市民ランナーとして各国の大会に出場していたことから、各メーカーのアドバイザーのような仕事もするようになりました。シューズのサンプルが送られてきては、実際に履いて試してみてフィードバックをするわけです。
そういうことを30年近くやってきたなかで蓄積された経験とノウハウを生かし、2008年に立ち上げたのが、『長距離ランナーが痛みを感じないランニングシューズ』をコンセプトとする自社ブランドLUNGE。
話を元に戻して質問に答えるなら、一般的なスニーカーよりも値が張る理由は3つあります。あ、ちなみに、ひとつだけ2万円代のモデルもあるので何卒!」
01.
唯一無二のミッドソール
「なんといっても、LUNGEの真骨頂といえばミッドソールです。
一般的には20%程度とされるEVAの含有量が脅威の80%(※1)。腰や膝の負担を軽減させる抜群のクッション性と反発性を兼ね備えています。シリアスランナーとして、スニーカーの目利きとして、蓄積されてきたノウハウがここに凝縮されているわけですね。
彼らの母国ドイツって、医療用矯正シューズがポピュラーな国なんですよ。X脚の人が多くて、普通のシューズだと膝に負担がかかってしまう。だから、ウォーキングやランニング時の無駄な動きを極力少なくして、関節への負荷を減らす。そういう意識が高いんです。
なお、インソールには⼈間⼯学に基づき設計されたアーチサポートと吸湿性をもたせたオリジナルインソールが装備されています」
※1「Classic Walk」「Classic Run」「Integer Walk Cushion」が対象
02.
Made in Germany
もちろん環境への配慮も!
「以前、LUNGEの工場に行ったことがあります。ハンブルクから車で2時間くらい。のんびりとした田園風景が広がる綺麗な場所です。工場は重要文化財に指定されている建物で、昔は牛舎だったとか。
かなり大きな建物なんですが、スタッフは20名くらいしかいません。少数精鋭なので、スペースが有り余ってる感じでした。製造工程は手仕事がほとんど。そこは彼らも妥協したくないんでしょうね。
もちろん、LUNGEのシューズは、OEKO-TEX100(※2)の認定も受けています。環境問題に対してシビアな国ですから、有害物質を出さないとか、そういうところもしっかりしているんです」
※2 繊維の原料から製品までの過程で厳しい検査にクリアした繊維製品に与えられる世界的基準
03.
ドイツ産の原材料を70%以上使用
「製造だけでなく、使用する原材料にも相当こだわっています。LUNGEが大切にしているのは、ドイツ産のものを70%以上使用するということ。
たとえば、アウトソールは「NORA」社というドイツの大手ゴムメーカーのものを採用。ミッドソールやインソールも、ほとんどがドイツメーカーのものです。
世界に目を向けると安価な材料はたくさんあると思いますが、“ドイツのもの”を使ってドイツで作る。地産地消ですね」
「そうそう、はじめてLUNGE兄弟にお会いしたときに『このミッドソールは、2000km走ったあとでも、最初の1歩とクッション性が変わらない。これこそが僕らのこだわりなんだよ』と言ってました。
いかがでしょう?ご質問の答えになっていますでしょうか」
はい、「LUNGE」が欲しくなりました!