時代に流されない「Made in Slovakia」のスニーカー

「SPALWART」「NOVESTA」「ZDA」

あまり馴染みのない固有名詞かもしれませんが、これらはすべてスニーカーブランド。加えて、ある共通項が。

いずれも、東欧はスロバキア発なんです。

ここ数年、同国には一部のスニーカーファンが熱視線を注いでいます。

というのも、第二次世界大戦の頃から国内にある数々の工場が、各国軍隊で使用されるトレーニングシューズの製造を請け負っていたという歴史があるから。丁寧な手作業で生み出される一足は、クラフトマンシップを感じさせるだけでなく、「軽さ」「丈夫さ」がお墨付きというわけ。

前述した3つのブランドは、その代表格と言っていいでしょう。

そんな「Made in Slovakia」を大切にするブランドが、ここ日本にも。

「REPRODUCTION OF FOUND」は、欧米諸国の軍用トレーニングシューズを現代風にアレンジし、デイリーユースの一足へと昇華させたドメスティックブランド。ミリタリースニーカーの王道・ジャーマントレーナー(ドイツ軍)はもちろん、アメリカ海軍やカナダ軍、イタリア軍、スウェーデン軍などで使用されていたものがモデルとなっています。

たった一足のスニーカーを通して、現代の日本とかつての列強が交差する、とは言い過ぎでしょうか。チープな表現かもしれませんが、ロマンを感じます。

ラインナップのなかでも、個人的には「1300FS」というフランス軍モデルが、出色の完成度かと。

アッパーはスエードとメッシュ、ナイロンが組み合わされています。これだけ異素材のコンビネーション、かつ、多彩なカラーリングを施しながらデザインとして成立しているケースは希。ヒールのトリコロールもニクいですし、サイドにありがちなブランドロゴを排除することで、商業的に無臭なのも好感が持てます。

ただし、もっとも気に入ったのは、とんでもなく固いソール。これはもう実際に触ってもらわないと伝わりませんが、スニーカー自体の反りが極限まで抑えられており、いい意味で超ローテクです。はじめは履き心地に違和感を覚えてしまうほど。

僕は、それこそが真骨頂だと思うのです。デザインはモダンながら、つくり自体は圧倒的にクラシック。そのバランスが絶妙だと。

たしかに同ブランドのスニーカーが盛り上がりを見せたのは、2016年ごろのこと。でも、著名アーティストやストリートブランドとコラボしたハイテクスニーカーが活況な今だからこそ、そのローテクさが一層魅力的に映ります。

かなり今の気分です。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。