今さら聞けない!「eスポーツ」とは?
めまぐるしいインターネットの普及やオリンピック種目になるのではないかという話題から、熱い注目を浴びるようになった「eスポーツ」。
「ゲーム=遊び」という考えでは古いようで、スポーツとして本格的にプレーされる日も遠くないようだ。
この記事では、「eスポーツってそもそも何?」というところから、「具体的にはどんなことするの?」というところまで紹介していきたい。
eスポーツとは?
eスポーツとは、一般社団法人日本eスポーツ連合によると次のように定義されている。
「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。
オンラインでゲームで闘うことをスポーツとして捉え表現したのがeスポーツなのだ。
eスポーツという言葉がインターネットの普及と共に使われ始めたのが2000年。そこからeスポーツは、デジタル先進国の中国やアメリカを中心に大きな成長をみせている。
世界のeスポーツ事情
eスポーツが盛り上がっている国は中国やアメリカだが、これらの国に限らずeスポーツは世界中でそのプレー人口を増やし、市場を拡大している。ゲームとeスポーツを対象に市場調査分析を行なっているNewzooが公表している2020年発表データによると、世界のeスポーツプレイヤーは27億人に及ぶという。
対して競技人口が世界で一番多いといわれるバレーボールは約5億人(総務省データ)といわれており、eスポーツをはるかに上回っているのだ。プレーヤーによってはスポンサーがついて、大きなお金が動いていることもある。
また、アメリカのEpic Gamesが販売する「フォートナイト」が、全米の高校と大学で公式にスポーツとして導入されることが決まった。高校生・大学生を対象にした公式リーグが組まれ、すでにリーグ登録校は、高校だけで1万3000校を超えているそうだ。
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しかし、eスポーツの活動のフィールドはオンラインゲームであり、どうしてもゲームとしての弊害が付いて回る。eスポーツの市場が世界的にも大きい中国では、特に若者がゲームにのめり込み、日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」が社会問題になっている。
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前述してきた内容からも伺えるように、世界ではeスポーツの発展がめまぐるしい中、日本はゲーム大国といわれながらも、eスポーツはまだまだスポーツとして広く認識されているとはいえない。
例えば賞金の話。世界の大きな大会が億単位の賞金を用意していながら、日本で開催される大会の賞金は数百万ほど。これは法律の問題で、高額な賞金を用意することが難しいというのが理由のようだ。
参加者から参加費をとって、そこから賞金を捻出するしようとすると、法律上も問題が生じる。他にも、ゲームをスポーツとして認める声がまだまだ少なく、eスポーツを受け入れにくい国家の傾向があるというのが現状だ。
eスポーツがオリンピックの正式種目になる?
eスポーツはオリンピックの正式種目になる可能性がある。実際、パリ五輪招致委員会の共同議長Tony Estanguet氏は「『No』と言いたくはありません」と発言。
eスポーツは「費やした時間と努力の結果が、自分のスキルになる。」と実際のスポーツと共通する部分も。マウスのコントロールの1mmで結果が変わるという肉体的な部分と、勝ち方を考える知性的な部分を持ち合わせている点がオリンピズムとマッチしているのだ。
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だが、今のところ、来年開催予定の東京オリンピックでは正式種目とされていない。このハードルを超えるにはいくつかの問題があるようだ。
まずは、著作権の問題。eスポーツはサッカーや野球とは異なり、誰かが作ったゲームというストーリーをいかに上手く攻略していくかを競うスポーツ。そのゲームの著作権はゲーム会社が持っており、テレビ放送する際などには著作権の問題に強く縛られることになるのだ。もし、そのゲームをオリンピック用に新しく作成したとしても、そのゲームが本当に面白いかには、疑問を唱える意見もある。
また、子どもがゲームに熱中しすぎるあまり、生活に支障が出ることが社会問題となっている。eスポーツがオリンピックの正式種目化されることで、自分もオリンピックに出たいと、さらにゲームに多くの時間を注ぎ、子ども達の生活に支障をきたしていくのではないかとうい懸念があるのだ。また、ゲームの中には子どもには刺激が強いものもあり、教育上よくないのではないかという議論もある。
eスポーツの公認条件
eスポーツの競技タイトルとして認められるには、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が定める基準をクリアする必要がある。その基準は以下の通りだ。
1.1 ゲーム内容に競技性が含まれること(競技性)
1.2 ゲームとして 3 か月以上の運営・販売実績があること(稼働実績)
1.3 今後も e スポーツとして大会を運営する予定があること(大会の継続)
1.4 e スポーツとしての大会の興行性が認められること(興行性)。
eスポーツのジャンル
ここでは、eスポーツで実際に競技されているゲームジャンルなかでも、メジャーなものを例として紹介したい。
MOBA
MOBAはマルチプレイヤー・オンライン・バトル・エリア(Multiplayer Online Battle Arena)の略。自分のキャラクターをコントロールしながら、仲間と協力して、敵を倒していくゲームだ。5 vs 5、3 vs 3 などのチームに分かれ、互いの拠点を取り合うような設定のものが多い。
格闘ゲーム
格闘ゲームとは、プレイヤーがコントロールするキャラクター同士で戦うゲームのこと。相手の体力ゲージを0にすることができるか、または時間内でいかにゲージを消耗させることができるかで勝敗が決まる。
スポーツ
サッカーや野球、テニスなどのリアルスポーツをゲーム上でプレイをするスタイル。プレイヤーをコントロールして、本当のスポーツをするかのように同じルールで勝敗を決めていく。SPGと略されることも。
FPS
FPSは、ファーストパーソンシューター(First Person Shooter)の略。まるで自分がゲームの登場人物であるかのように感じる一人称視点でプレイされるシューティングゲーム。手や武器だけが画面に表示され、まるでその手や武器が自分のものであるかのようにコントロールしながら敵と戦う。
RTS
リアル・タイム・ストラテジー(Real・Time・Strategy)の頭文字をとってRTSとよばれるこのジャンル。プレイヤーはチームの指揮官として、ストラテジーを立てて、命令を出しながら勝利に導くゲームである。相手と交互に技を繰り出すターン制ではなく、リアルタイムで駒を動かして、ゲームをコントロールできるのも特徴の一つだ。
まとめ
ここでは新しいスポーツとして大きな注目を集めている「eスポーツ」について解説してきた。
eスポーツの世界での競技人口はメジャーなスポーツをどんどん追い越してきており、これから日本でも発展が期待されている。法整備などまだまだ課題はあるものの、今後の展開に注目していきたい。eスポーツがオリンピック種目として、認められる日も遠くないのかもしれない。