パタゴニアが贈る「個性を探す旅」
社会問題、特に環境問題への積極的なアプローチで知られる「パタゴニア」。
「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というエココンシャスなステートメントから伝わるように、SDGsをはじめ地球を持続させるために尽力しているブランドだが、どうやら彼らが救おうとしている「地球」とは、環境だけに止まらないようだ。
この度パタゴニアが製作したのは、『They/Them』と題された一本のブランドフィルム。2時間近くに及ぶ映像作品でフィーチャーされているのは、Lor Sabourinという一人のクライマーとそのコミュニティだ。
これだけ聞くといかにもブランドらしい、アウトドアアクティビティがテーマのように感じるだろう。しかし、この動画で主題となっているのは、セクシュアリティとメンタルヘルス。
というのも、フィーチャーされたSabourinはトランスジェンダーのクライマー。クライミングを「人生で一番刺激的なルート」と呼ぶ彼らにとって、それは単なるスポーツの一種目にとどまらない。
Sabourinにとってのクライミングとは、アイデンティティを追求する旅であり、困難に直面した時の原動力でもあるようだ。彼らのコミュニティは、Sabourinがセクシュアリティで悩み、弱ったときにそれを乗り越えられた、“家”と呼べる場所だそう。
あらゆる多様性を受け入れ、共に進める場所であることは、現代におけるアクティビティが持つ価値なのかもしれない。
そして、そんなコミュニティを愛し支援することもまた、パタゴニアが謳う「地球を救う」に含まれるということなのだろう。
メンタルヘルスやセクシュアリティに関する問題は非常に繊細だ。発信するのもなかなか大変なものだが、それを自らが愛するアクティビティを通して共有し、支援するパタゴニアの思慮深さは、さすがの一言。
素晴らしいコミュニティと、その代表たるパタゴニアに拍手を送りたい。
こちらがブランドフィルム『They/Them Film and Panel | One Climber's Story』。パタゴニア公式より以下の注意喚起が記されているので、閲覧の際は要確認。
Content Warning: This film includes discussions of eating disorders, body dysphoria, self-harm, sexual assault, and suicide. While we have done our best to explore these topics conscientiously, remember that we are looking through the lens of a single person’s experience. Please take care of yourself as you watch and use the resources provided at the bottom of this page to find support if you are struggling with any of these topics.