AI監視カメラから身を守るための迷彩服、誕生
今でこそ、ファッションアイテムとして馴染みのある「カモフラージュ=迷彩」。
もともとは地形や風景に同化して姿をくらますためのものだけど、時代は情報ネットワーク社会の21世紀。高い識別能力を持つAI監視カメラの前では、人間が身を隠すのは非常に困難。
このAI監視カメラは、犯罪者の特定などで成果を上げる一方、必要以上の監視になりかねないとして「AI倫理」の議論の対象でもある。
どうやって監視から逃れる?
まあ、普段生きる上でそんなに隠れたいこともないとは思うけれど、プライバシー保護の観点などから問題とされているのは事実。
そんな“デジタル監視”から逃れるために試行錯誤され生まれたのは、21世紀版の新しい「迷彩柄」!
日本のAI企業「Qosmo(コズモ)」が「Dentsu Lab Tokyo」と共同で生み出したこちらは、「UNLABELED」と呼ばれる特殊なテキスタイル。
2016年に「グーグル」の研究者が開発した「Adversarial Patch」と呼ばれる技術を応用したもので、このパッチがAI監視カメラに映ると、対象の識別機能に支障をきたすのだそう。
一見すると普通の、というかおしゃれなパーカーだけど、これがAI監視カメラに映ると……
しっかりカモフラージュになってる(笑)
AIから隠れるためではあれど、UNLABELEDの迷彩はあくまでも「衣服」として使用できることを念頭においてデザインされたもの。
これを普通の服に落とし込むまでに試行錯誤したそうで、3Dファッションデザインソフトウェアなどを駆使してたどり着いたのだとか。
さらに、深層学習を用いた画風変換のアルゴリズムを使い、任意のデザイン画を“AIカモフラージュ化”することも可能に!
コズモとしては、このような「敵対的機械学習」に着目してAI倫理にアプローチすることで、AIに関する議論や新たな創造の可能性を促すのが狙いだそう。
普段着として実用できるこの「UNLABELED」は、“21世紀版カモフラ柄”として楽しみながらも、AI技術に対する「新たな視点」の提供に成功しているといえるだろう。
10月に開催された「DESIGNART TOKYO 2021」に出展して限定商品を販売したりと、発信にも意欲的。
今後一般販売されるかはまだ未定だけど、新しいAI倫理へのアプローチとして注目したい。