「透明よりも透明な」コンサートホール

自然の景観と建造物は調和できるか──。

リトアニアの首都ヴィリニュスで計画されているある建築が、この疑問に一つの答えを示そうとしている。

ヴィリニュスの名所の一つである“タウラスの丘”と呼ばれる自然公園に建設予定の新しいコンサートホール「Tautos Namai」。

公園の景観との調和を体現すべくホールに与えられた特徴は、透明であること。と言うよりも、”透明よりも透明”の方が近いかもしれない。

© lucapoianforms/Instagram

表面が特殊なガラスに覆われたこのホールは、太陽の光を取り込んで鈍く輝くことで、寒地であるヴィリニュスの冬景色に溶け込むのだ。

完全な透明であれば内部が透けて見えてしまうが、ホールは半透明であることによって銀世界の景観と調和し、ある種のカモフラージュとして“透明よりも透明”を実現できるのだ。

デザインを手掛けた建築スタジオのLuca Poian Formsが掲げるコンセプトは、「Contemporary Classic」。

四角形とアーチのみで構成されたバシリカのような形状は、確かにモダンながらもクラシックな印象を抱くものだが、このコンセプトが意味するものはおそらく「変わらぬ自然と現代的に調和する」ことだろう。

空間・形式を意識したデザインの中でも、背景を生かして「建物がカモフラージュになる」というアイデアは斬新で、新しい建築のあり方と言えるのではないだろうか。

実現に期待したい。

Top image: © Luca Poian Forms
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。