まるで図書館!保管されている大昔の雪が私たちに教えてくれること
もうすっかり寒くなりコートを着る季節になった。
冬の風物詩と言えば雪だが、これを歴史資料として保管する場所があるのをご存じだろうか。「Ice Core Archive」と呼ばれる特殊な施設だ。
ただし、同施設が保管する雪は、私たちが想像するような”ふわふわ”の状態ではなく、長い時間をかけて圧力がかかり氷になったもの。マイナス30度の保管庫に、計4万個もの氷床サンプルが保管されている。
長く続く棚に氷雪が積み上げられている様子はまるで図書館のようだが、この施設は一体何のために存在するのだろうか。
答えは「過去の空気を保存するため」だ。
保管されているサンプルの内部には、肉眼で確認できる気泡がある。これは、圧縮されて氷になる前の遥か昔、それらが雪だった時代の空気。つまり、先史時代の気候変動や1万年に及ぶ地球の記録だ。
また、これは人為的な汚染が起きる前の大気を知る、貴重な研究資料でもある。これまでの研究により、温室効果ガスや二酸化炭素、メタンが、時間の経過とともにどのように変化するか明らかにされてきた。
「Ice Core Archive」は、“地球の歴史”が刻まれた氷床が温暖化で消滅してしまう前に、研究資料として安全に保管するためのものだったのだ。
そして、こうした空気の保存は、過去を知るだけでなく、現代における化石燃料の影響を調査し、未来を考える上でも有用だ。
私たちが今吸っている空気やどこかで降っている雪は、いつかこの施設で研究される日を迎えられるのだろうか。
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