地球温暖化対策に潜む落とし穴。「緑化」で街の気温が上昇する?
「地球温暖化対策」と聞いて、何を思い浮かべるだろう? CO2削減、再生可能エネルギー、あるいはエコバッグ……。 環境問題に関心の高い人なら、すぐに具体的なアクションが頭に浮かぶはず。
では、多くの都市で導入されている「緑化」については? 涼しげな木陰を作り出す緑化は、一見、地球温暖化対策に有効な手段のように思える。しかし、その効果は私たちの直感とは異なるかもしれない。
気温上昇を招く!?
植樹による「逆効果」の可能性
「Earth.com」に掲載された最新の研究結果に、私たちはハッとさせられる。Cambridge大学の研究チームが、世界17の気候帯、10都市を対象に行った調査によると、植樹は必ずしも気温低下につながるとは限らないというのだ。
たとえば、熱帯湿潤・乾燥気候においては、日中は最大12℃もの冷却効果を発揮するいっぽうで、夜間には逆に0.8℃の気温上昇が見られる場合があったそう。これは、樹木の葉が地面から放射される熱を閉じ込めてしまうためらしい。私たちの常識を覆す、緑化の「意外な盲点」と言えるだろう。
都市型グリーン化のジレンマ
気候、構造、そして樹種の関係性
では、効果的な地球温暖化対策として、緑化を活用するにはどうすれば良いのか? 同研究では、気候、都市構造、そして樹種に最適な組み合わせが存在することが示唆されている。
たとえば、温帯や熱帯地域では、開放的な都市構造と多様な樹種の組み合わせが、効果的に冷却効果を発揮するという。いっぽう、カイロやドバイのような、建物が密集した乾燥地帯では、常緑樹を植栽し緑被率を増加させることで、0.4℃の冷却効果が期待できるという。
グリーンイノベーション
テクノロジーとデータが未来の都市を描く
Cambridge大学のRonita Bardhan氏は、「都市計画者は、将来の温暖化にも対応できるよう、生育し続け冷却効果を維持できる樹種を選ぶべき」と述べている。
地球温暖化対策において、緑化は重要な役割を担う。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、従来の常識にとらわれず、科学的根拠に基づいたより戦略的なアプローチが必要なようだ。
AIやビッグデータ解析などのテクノロジーを活用し、地域の気候や都市構造に最適な樹種を選定する。ドローンによる植栽、センサーネットワークによる生育状況のモニタリングなど、テクノロジーは未来の都市における、スマートな緑化を実現する鍵となるのではないだろうか。