99%以上の科学者が「気候変動の原因は人間である」と認識
地球の気候変動の原因は人間由来である。というのは国連の専門家の主張としても知られていますが、中には懐疑論も存在し、温暖化現象は自然のものであるという意見や、そもそも温暖化していないという意見もが存在しています。
しかし、米メディア「TakePart」の記事では、科学者の意見が99%以上一致しているとしています。何を今更と思う人も多いかも知れませんが、環境問題を考える際、ひとつの参考になるかもしれません。
アメリカの人気テレビ番組「Last Week Tonight」において、気候変動の議論について検証が行われました。番組では、各方面から1人ずつ専門家を呼ぶのではなく、人類が地球温暖化を招いていると主張する75人の科学者を呼び、3人の反対論者と議論したもの。統計的に、気候変動について議論を行おうとしました。
その結果、97%以上の科学者が、地球温暖化を招く原因は人間であると意見を表明したといいます。
2万4000以上の研究論文を調査
国立物理科学コンソーシアムの責任者であるジェームズ・L・パウエル氏は、2013年から2014年の間に出版された気候変動に関する2万4000以上の研究論文を調査しました。
パウエル氏は、計6万9406人いる膨大な数の著者たちの中で、人間による気候変動を否定したのはたった4人のみだったといいます。つまり、1万7352人に1人の割合です。同氏は、以下のように述べます。
「97%という数字は間違っています。見て下さい。研究を出版している科学者のうち97%が同意しているならば、同意していない割合は3%ということになります。ですが、実際同意していない人の割合は0.006%のみ。その違いは500倍にもなります」
この数字を明確にするために、同氏は2万4210にも及ぶ研究論文の中で「地球温暖化」、「気候変動」といったキーワードを含んだものを調査。9ヶ月間かけてすべての研究論文を読んだ結果、気候変動と人間の関係性を否定しているものや人間以外の原因について説明しているものは、たったの5つでした。
しかも、そのうちの2つは同じ著者による研究だったそう。逆にどんな意見があるのか気になるところですが、議論する余地もないほど確かな事実なのだとか。
同氏は、科学者の99.99%が同意している事実について、なぜまだ議論する必要があるのかとコメントしています。ほぼすべての科学者たちが、人間が気候変動に影響を及ぼしていると考えているわけです。
私たちが早く理解すればそれだけ、二酸化炭素を減少させることの重要さに早く気づくことができます。二酸化炭素は、地球温暖化や海面の上昇、長期間における人間の健康や、世界の食料供給にまで影響を及ぼすものです。
アメリカでは30%の人々が
地球温暖化を信じていない
2015年の3月に行われた調査によれば、アメリカ人の16%は地球温暖化が起こっていると信じておらず、17%が自分たちが生きている間には発生しないと考えているのだそう。この2つを合わせれば、全人口のおよそ3分の1。多くの人が地球温暖化が起きていないと思っているということになります。
米シンクタンクのピュー研究所が2015年1月に行った調査によると、気候変動に関する科学者と一般人の見解の違いはさらに広がっているそうです。調査では、米国科学振興協会(AAAS)のメンバーと一般市民に、「人間の活動のせいで地球は温暖化していると思うかどうか」を尋ねました。
AAASのメンバーの87%はこの質問に対して同意を示しましたが、一般の人々の同意は50%に留まりました。一般市民のほぼ半数が、地球がそれ自体の活動で暖かくなっている、または気候変動の証拠はないと答えたそうです。
パウエル氏は、この科学者と一般市民の間の見識の差は、なんら驚くことはないと述べています。ハーバード大学の科学史の教授ナオミ・オレスケス氏も、地球温暖化に関する928の論文を読み、人間と気候変動の関連性を否定できるものは存在しないという結論に至りました。
長すぎる議論
オレスケス氏は、結果が出ているにも関わらずに継続されて行われている、様々な研究に対してこんなことを述べています。
「私は、科学史という観点から見てもこの議論はあまりにも過剰だと感じています。考えだしてから行動に移すまでに、何度議論しなければならないのでしょうか?」
オレスケス氏は、共著書の『Merchants of Doubt』において、産業界の利益団体が、医薬品やそのほか様々な商品、気候変動などの問題について、国民を欺くためにいかに科学者を利用しているかということについて語っています。
2004年に発表されたオレスケス氏の研究は、気候変動についての科学者の総意をまとめた最初のものでした。パウエル氏の最近の研究は、その意見をさらに強めるもの。さらに同氏からはこんなコメントも。
「多くの人々は、自分が同意する科学の研究結果は受け入れますが、不都合なものは拒否します。が、それは正しくありません。科学とは、美しいタペストリーのようにすべてのかけらが一致するもの。気候科学者の言うことが間違えているというのであれば、それはすべての科学者が間違えているということでもあり、科学そのものが間違えているということにもなるのです。でも、そうだとしたら、機能など存在しないことになる。両立などありえないのです」
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