「フェアトレード」で叶える、ちょっとサステナブルな暮らし方

最近、SNS上で「#エシカル消費」や「#サステナブル」といったハッシュタグを見かける機会が多くなった。お気に入りのカフェのコーヒー豆が「フェアトレード認証」ということもあるだろう。なんとなく、地球に優しいイメージはあるが、実際どんな仕組みなのか、ちゃんと説明できる人は意外とすくないはず。

フェアトレードは、私たちが普段何気なく口にするチョコレートやコーヒー、洋服など、様々な商品を通して世界とつながり、社会貢献できるアクションだ。そこで、あらためて「フェアトレード」について、詳しく解説!

開発途上国の生産者と
フェアな関係を築く「貿易」のかたち

チョコレートの原料であるカカオ豆や、コーヒー豆。これらは、主に開発途上国で生産されている。けれど従来の国際貿易では、生産者たちは低賃金長時間労働を強いられるケースが多く、生活は苦しいまま。そんな不公平な状況を改善するために生まれたのが、フェアトレードの考え方。

1-1. フェアトレードってどんな仕組み?

そもそもフェアトレードとは、「公正な貿易」という意味。開発途上国の生産者と適正な価格で取引を行い、彼らの生活向上と自立を支援する仕組みのこと。また、児童労働強制労働をなくし、安全な労働環境を保障することも、フェアトレードの大切なポイント。

「フェアトレードは、途上国の生産者と先進国の消費者を公正な貿易でつなぎ、持続可能な発展を目指す運動である。」これは、「国際フェアトレード機構(Fairtrade International)」によるフェアトレードの定義だ。

1-2. フェアトレードの歴史を知る

フェアトレードの歴史は、1940年代後半アメリカで始まった、途上国で手工芸品を販売する活動に遡る。その後1960年代には、欧米を中心にフェアトレード運動が拡大し、コーヒーやチョコレートなどの食品も取引されるようになっていった。日本では、1988年に「オルター・トレード・ジャパン」が設立され、本格的にフェアトレード活動がスタート。今日では、様々な団体や企業がフェアトレードに取り組み、消費者の意識も少しずつ高まっている。

世界を変えるフェアトレード
3つのメリット

フェアトレードは、ただ「優しい」だけじゃない。生産者、消費者、地球全体にとって、メリットがたくさん。私たちが賢く商品を選ぶことで、世界をちょっとずつ良い方向に変えていくことができることにも注目したい。

2-1. 「適正価格」で貧困問題にアプローチ

フェアトレードは、生産者に適正な価格を支払うことで、彼らの生活水準の向上と経済的な自立を支援する。安定した収入を得ることで、子どもたちの教育や医療を受けさせたり、より良い生活環境を手に入れることができる。

2-2. 地球にも優しい選択。「環境保護」にも貢献

フェアトレードは、環境保護にも貢献する。多くのフェアトレード認証は、農薬や化学肥料の使用を制限するなど、環境に配慮した生産方法を推奨している。これにより持続可能な農業を促進することで、地球環境を守ることができるのもフェアトレードの利点と言えよう。

2-3. 心の満足度もアップ!

フェアトレード商品を選ぶことは、単なる消費活動を超えた、社会貢献活動への参加とも言えるのではないだろうか。倫理的な消費行動を通して、私たちは「世界をより良くしたい」という想いを形にすることができ、心の満足感を得ることができるという点にも注目したい。

世界を変える、Z世代注目の
最新のフェアトレード事例

近年、Z世代の間でエシカル消費への意識が高まっており、フェアトレード商品への注目度も上昇中。ただ「良いことをする」だけじゃなく、自分自身のライフスタイルにもこだわりたいZ世代にとって、フェアトレードは、おしゃれで、おいしくて、世界にも貢献できる、理想的な選択肢なのかもしれない。

以下、Z世代注目の最新フェアトレード事例をご紹介。

3-1. 「おいしい」の先にあるストーリー:チョコレート編

チョコレートは、フェアトレードの代表的な商品。最近では、カカオ豆の選定からチョコレート作りまでを一貫して行う「Bean to Bar」が人気を集めている。

たとえば、チョコレートブランド「Minimal」は、カカオ豆の産地や品質にこだわり、フェアトレードで調達したカカオ豆を使用したチョコレートを販売。パッケージもシンプルでおしゃれなので、プレゼントにも最適。

また、フェアトレードのカカオ豆を使って、自分でチョコレートを作るワークショップも人気。チョコレート専門店「Dari K」では、カカオ豆の焙煎からチョコレート作りまでを体験できるワークショップを開催している。自分で作ったチョコレートは、格別な味がするはず!

3-2. 毎日の一杯で世界とつながる:コーヒー編

コーヒーも、フェアトレード商品として広く知られている。近年は、多くのカフェやコーヒー専門店でフェアトレード認証を受けたコーヒー豆を使用している店舗が増えてきた。

そのひとつフェアトレード専門ブランド「People Tree」は、世界各地の生産者からフェアトレードで調達したコーヒー豆を販売。生産者の顔写真やストーリーが書かれたパッケージは、コーヒータイムをより豊かにしてくれる。

生産地を訪問するツアーなども企画され、コーヒーを通して、生産者と直接つながることができる機会も増えている。コーヒー豆の栽培から収穫、加工までのプロセスを実際に見て、体験することで、フェアトレードへの理解をさらに深めることができるに違いない。

3-3. 個性を表現しながら社会貢献!:ファッション編

フェアトレードは、ファッション業界にも広がっている。オーガニックコットンを使用した衣料品や、生産者の労働環境に配慮したエシカルブランドが注目を集めている。「地球にも人にも優しい服を選びたい」「おしゃれは我慢したくないけど、誰かの犠牲の上に成り立つファッションは嫌だ」というZ世代の想いに、フェアトレードファッションは応えてくれる。

先述の、「People Tree」は、フェアトレードで生産されたオーガニックコットンの洋服やアクセサリーを販売。「値段は少し高いかもしれないけど、長く着られるし、デザインもかわいい!」と、Z世代の女の子たちからも人気を集めている。

フェアトレードが描く未来

フェアトレードは、世界中で広がりを見せている。私たちの意識と行動次第で、フェアトレードは、より良い未来を創造する力となるだろう。

4-1. もっと身近に。フェアトレード市場の展望

フェアトレード市場は、今後も成長を続けると予想される。一般社団法人「日本エシカル推進協議会」と「日本フェアトレードフォーラム」の後援による有志が2023年に実施した調査によると、2022年の時点で日本のエシカル市場規模は8兆円を超えていることが判明。市場は2025年に向け、さらに拡大すると予測されている。

多くの企業が、CSR活動の一環としてフェアトレードに取り組んでおり、商品やサービスのラインナップも充実。コンビニやスーパーでも、フェアトレード商品を目にする機会が増えてきた。フェアトレードが、より身近な選択肢となっていくことが期待される。

4-2. 今日から始める、小さなアクション

フェアトレードは、特別な人だけのものではない。私たち一人ひとりの小さな行動が、世界を変える力になる。まずは、フェアトレード商品を選んでみることからはじめてみてはいかがだろう。チョコレートやコーヒー、洋服など、様々な商品が「フェアトレード認証」を受けている。普段の買い物のなか、ちょっと意識するだけでフェアトレードに参加できる。フェアトレードについて学ぶことで、さらに理解を深め、行動につなげてみてはいかがだろう。

Top image: © iStock.com/Frazao Studio Latino
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。