「1%の億万長者」が排出している温室効果ガスの量に、驚愕……

全人口におけるわずか1%……いわゆる億万長者と呼ばれる彼らが世界に与える影響は、必ずしも良いものとは限らないようだ。

「The Guarudian」が独自調査で明らかにした事実に、アナタは何を思うだろう。

各国が独自の削減目標を掲げて地球温暖化に奮闘しているなか、世界でもっとも裕福な億万長者のうち12人は、プライベートジェットや邸宅、エネルギー事業への金融投資などを通じて、想像をはるかに超える温室効果ガスを排出していることが判明。その規模は、200万戸の住宅が年間に排出する総エネルギー量よりも多いという。

実名公開された億万長者の中には、イーロン・マスクやビル・ゲイツなどお馴染みの実業家をはじめ、「Amazon」の創設者であるジェフ・ベゾス、メキシコの実業家カルロス・スリムが名を連ねている。

米国環境保護庁のデータによれば、リッチマンらが所有する高級品の数々は、約1700万トンのCo2と同等の温室効果ガスを占めているとのこと。これは4.6基の石炭火力発電所からの年間Co2排出量にも匹敵するらしい。

また、オックスファム・インターナショナルの政策顧問であるアレックス・メイトランド氏は「億万長者の彼らは、所有する企業を通じて平均的な人の100万倍もの炭素を排出している。彼らには、化石燃料のような大気汚染産業への投資を好む傾向がある」と皮肉混じりに分析している。

“地球に優しい”とは程遠い、
あの乗りもの

しかし、一体彼らのどんな高級品が環境破壊に繋がっているのだろう?その答えのひとつが、スーパーヨットにある。

特に二酸化炭素排出量が多い船艇としても知られるスーパーヨットは、待機しているだけで年間約7000tの二酸化炭素を発生させてしまうんだとか。それに加え、船内にはプールや温水浴槽など高エネルギーを排出するコンテンツ。さながら高級ホテルが水上で稼働しているようなものと思えば、そのエネルギーはやはりどこかで負荷を生じさせることになるのだろう。

いまや、億万長者のステータスシンボルとも言えるスーパーヨットの二酸化炭素排出量は、米政府機関が所有するプライベートジェットの総排出量さえもはるかに上回っているというのだから……。

エリート億万長者がもつ
並外れた「影響力」

そんな彼らが経済や政策の決定において、多大な影響力を持っているのは周知の事実。ただ、なかにはその影響力を社会課題や環境問題へと転換し、課題解決へと取り組む人たちがいることも忘れてはならない。

例えば、「Google」共同創業者セルゲイ・ブリンは気候変動に焦点を当てた非営利団体に資金提供を実施していることでも知られている。また、ビル・ゲイツも温室効果ガス削減のため、クリーンエネルギーと気候変動のイノベーションにこれまで何十億ドルを投じてきた。

いかようにも世界を動かせてしまう“1%の人々”。その有り余る富の使い道いかんでは、環境問題のみならず逼迫した世界情勢に一石を投じることもまた可能ではないだろうか。

彼らを諸悪の根源と罵りたいわけではない。ほんのひと握りの彼らだからこそ、彼らなりの手段で世界をより良い方向へと大きく舵を切ることも可能なはずだ……。

Top image: © Rodin Eckenroth/WireImage
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。