「電灯がある生活」は、決して当たり前ではありません。
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
電気記念日
突然ですが、想像してみてください。電気による明かりのない街や部屋、そして生活を。
日中でも明かりを灯して暮らしている人が少なくない今、「そんなの無理」という人もいるでしょう。しかし、日本の一般家庭に電気灯が普及したのは、1900年台の前半。ほんの100年ほどまえのことなのです。
今日3月25日は、そんな日々の暮らしに欠かすことのできない電灯が、日本の公の場ではじめてお披露目されたことを記念する「電気記念日」です。
1878年、近代産業の活性化を目的に設置された明治政府内の組織「工部省」(※)の主導により、電話や電報などを司る「電信中央局」が開局。144年前の今日、その開局を祝う会が開かれました。
場所は、東京・虎ノ門の「工部大学校」。現在の「東京大学」の工学部の講堂です。
のちに4度にもわたって内閣総理大臣を務めることとなる、当時の工部卿・伊藤博文の発案により、大学で教授職に就いていた物理学者のウィリアム・エドワード・エアトンが電灯(アーク灯)を設置。点灯に成功し、講堂内が青白い光で満たされると、祝賀パーティの参加者たちからはこんな声が洩れたといいます。
「不夜城に遊ぶ思い」
(まるで日の沈まない場所にきたようだ......)
先日、福島県沖で起きた地震の影響で火力発電所が稼働を停止。電力の供給量が不足し、3月22日、政府は初となる「電力供給ひっ迫警報」を発令しました。
実際に停電被害に遭われた方もおられ、電気や明かりのありがたみや大切さを痛感した人も多いのでは?
夜、街や部屋が明るいのは当たり前ではない──。
今一度、そのことを胸に刻んで日々を過ごすことで、未来ももっと“明るいもの”になるかもしれません。
※日本電信電話(NTT)の前身組織