偶然を呼び寄せる力「セレンディピティ」を信じられるか?
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
レントゲンの日
ダイナマイトの発明者で知られる、アルフレッド・ノーベルの遺言により1901年より始まったノーベル賞。その第一回物理学賞を受賞した人物が本日の主人公。
ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲン博士。名前からお察しの通り、レントゲンの生みの親です。
1895年11月8日にX線を発見。ヴュルツブルク大学において実験用真空放電管(クルックス管)を用いて、真空管に高電圧をかける陰極線の研究をしていたレントゲン。偶然に、真空管の外に置かれた蛍光紙が明るく光ることに気付きました。
薄暗い光の線は、真空管と蛍光紙のあいだに1000ページ近い厚さの本で遮っても、透過したそうです。
いったい、この光はなんなんだ?正体不明の未知の光線、という意味でレントゲン博士はその光を「X線」と名付けることに。
さて、そのX線の正体ですが、言わずもがな電磁波の一種で、赤外線や光の仲間。通常、光は障害物があるとそこで遮られ、その先には届かない。けれどX線は波長が短く大きなエネルギーを有するため、ものを構成する原子や電子を通り抜けることができてしまう。
この透過作用を使ったのが、体の内部様子を撮影する健康診断でもおなじみの胸部X線(レントゲン)検査です。
レントゲン博士により発見されたX線は、医学史における最大の発見と言われており、放射線医学の歴史はこの発見から始まったとされているんだそうです。
リンゴが木から落ちたのも偶然ならば、レーダー装置の実験中にポケットの中のチョコバー溶けたのも偶然。多くの科学的大発見の裏にはセレンディピティ(偶然の産物)が存在する。
不思議ですよね〜。もちろん、そこに着目できる注意力と科学的アプローチがあってのことですけどね。