カメラが捉えた、光なき闇の魔王
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
ダイオウイカをカメラが捉えた日
光なき闇の魔王クラーケン──。
天地創造のときに生まれ、この世の終わりまで生き続けるという北欧の海の怪物。中世から近世にかけてノルウェー近海やアイスランド沖に出現したという伝説もあれば、アフリカのアンゴラ沖に現れたという言い伝えもある、伝説上の生きもの。
船乗りたちの証言をもとに描かれたとされる怪物は、どれも巨大なタコやイカといった頭足類の姿をしていており、長い足で船をひとのみにしてしまう。
そう、伝説上。永らく思われてきたクラーケン。そのモデルではないかとされる謎の巨大生物を初めてカメラが捉えたのが、10年前の今日。それも日本近海の小笠原諸島で。
2013年1月6日、父島東沖の深海650メートル付近で生きているダイオウイカの映像が撮影されました。ダイオウイカの生息地は深い海の底。これまでに死骸での発見はあったものの生きている姿を映像で捉えたのは、世界で初めてのことだったそう。
その映像の一部がこちら。
これまで世界中の研究者やメディアが“泳ぐ姿”の動画撮影に挑戦してきましたが、いずれも失敗に終わってきたなか、ついに発見に至った調査チームは東京・国立科学博物館所属の海洋生物学者とNHKによる合同チーム。有人潜水艇を用いた調査・撮影はじつに100回。400時間以上におよぶ潜行だったそうです。
カメラが捉えたダイオウイカは体長3メートルほどと、同種にしてはやや小ぶり。2本の長い触腕が切れて短くなっていたそうで、完全な状態であれば7〜8メートルと推測されています。
クラーケンの話はどうしたって?
見果てぬ夢を追い求めて、ようやくたどり着いたダイオウイカの泳ぐ姿。ロマンがあるじゃないですか。深海にはまだまだ、ボクらの知らない世界が広がっていそうですね。