知ってる?人工衛星どうしが「衝突しない」理由

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

宇宙空間で初めて
人工衛星同士の衝突事故が発生

1961年、初の有人宇宙飛行が実施されてから約半世紀。宇宙開発競争は“民営化”され、いよいよ宇宙が身近な時代に突入してきた感じがありますよね。

もちろん、宇宙空間から地球を眺めることができるのは、まだほんのひと握りの人。とはいえ私たちの日々の生活と宇宙は、いまや切っても切れない関係。たとえば、スマホ、GPS、インターネットサービス、天気予報にだって「宇宙」が深く関係している。

そう、人工衛星です。

国連宇宙局(UNOOSA)によると、2021年12月時点でおよそ1万2000個を超える人工衛星の登録があり、地球表面から2000km以下の地球低軌道(LEO)を周回しているんだそう。

さらに、Space XやAmazonはじめとする民間企業が計画する衛生プログラムでは、今後さらに10万機近い人工衛星の打ち上げを予定しているとか。いくら宇宙とはいえ、もう地球の上は渋滞状態。で、フシギに思うのがこれ。

なぜ人工衛星同士は衝突しないのか?」です。

そもそも人工衛星というのは、地面から数百kmのものもあれば、3万5000km上空の静止衛星まで、いろんな高さを飛んでいるということが大前提。

そのうえで同じ軌道上を安定して周回している場合あっても、同じ速さで飛行していれば原理的には追いつけず、絶えず距離も一定となり、ぶつかることがないんだそう。

もちろん、軌道自体がクロスすることもありますが、運用時にぶつからないよう制御されていたり、打ち上げ時にぶつからないようしっかり軌道投入計画が立案されるため、無数の人工衛星が飛んでいても、なかなかぶつかることはない。ということのようです。

けれど、絶対はありえないのがこの世の中。それは2009年に起きてしまいました。

2009年2月10日、北シベリア上空789kmの宇宙空間でアメリカの民間通信衛星にロシアの軍事用通信衛星が衝突。両機は大破し、この衝突により大量のスペースデブリ(宇宙ごみ)が発生し、大きなニュースとなりました。

それもそのはず、デブリは他の軌道を周回している人工衛星にも危害を与えかねないからです。

また、衝突から3日後にはケンタッキー州で衝撃音のようなものが聞こえたとの報告が入り、米気象局は衛星破片の落下に備える警告を出したり、米連邦航空局もパイロットに対してデブリに警戒するよう注意を促しました。(空からの落下物をどう避けようっていうのよ!)

以下の動画では、2機の人工衛星衝突から残骸がどう散らばっていったかの様子が見て取れます。

これを見ると制御されているとはいえ、何かの拍子にコントロールを失った瞬間、地球上空が恐ろしいことになるんじゃないだろうかと、少々不安になりますよね。

宇宙空間はたしかに広い。でも、そこには役目を終えた人工衛星やこうしたデブリが大量に。地上のゴミ問題もありますが、宇宙空間のゴミもまた、いつか人間を苦しめる日がくるのかもしれませんね。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。