子どものために徹夜をしたからって、ボクを褒めないで。それは当たり前のことだったんだ

いまや家事や育児を夫婦で分担するのはスタンダードになってきていますが、そこに対する男女の「認識の違い」が、夫婦間のイライラを生む原因になることも。

「No Idea What I'm Doing: A Daddy Blog」でクリント・エドワーズさんが書いた、男性目線のエピソードが話題になっています。

自分は「よくやっているほう」
だと思っていた

僕は育児に関して「よくやっているほう」だと思っていた。子どもが夜にグズって、へとへとになった朝、僕は言った。

「少なくとも僕は、子どもの夜泣きに付き合って、ずっと起きている。普通の男性はあまりしないんだから、もっと感謝してくれてもいいんじゃない?」

「僕がいて、君は本当にラッキーだよね。父親としての役割以上のことをこなしているわけだし」

とも言った。

ちょうど朝の7時をまわったところだった。

妻はほつれ髪と赤い目で、子供を抱いたまま椅子にもたれていたけど、僕の言葉に一瞬固まった。

以前、僕たちは「子どもの寝かしつけは母親の仕事」と、話し合っていたこともあった。だから妻はこの意見に賛同してくれるものとばかり思っていた。

でも妻は子供をしっかりと抱きなおすと、僕の目を見据えて言った。

「そういうこと言うの、やめてくれる?」

妻はものすごいストレスを
抱えていたんだ

当時、妻はまだ学生で、かつ三児の母で、さらに学校のボランティアまでしていた。

いつも子供を足元に張り付かせたまま、ダイニングテーブルで教科書を傍らに、何時間もキーボードを打ち込んでいた。

毎日の子どもの世話、病院に連れて行ったり、食事を用意したり、スポーツ教室や課外活動の送迎、子供たちを健康で清潔な状態に保つこと、そして公共の場での子供たちのお守り、家を清潔に保つことで手一杯だと、ときどき妻はつぶやいていた。その上、妻は子供たちの面倒をひとりで見ることに、ものすごいストレスを感じていた。

そんな彼女に配慮して、どれだけの家事や育児を手伝ってきたことか。

それなのに妻は、僕が「家庭的な父親のふりをするために子守りをやっている」と感じていたようだ。

もちろん僕はそんな風に思ってはいない。僕はただ、自分たちの結婚生活に、僕なりの貢献をしていることに気づいてもらいたかっただけだ。

こんなに家のことをやるなんて、僕は本当に父親としての枠を超えていると思っていた。

出勤する支度を終えてランチボックスの入ったカバンを手に取ると、ちょっとためらいがちに言った。

「何でだよ?だってそうだろ。他の父親がやってないことをたくさんやってるんだ。僕っていい男だろ」

「この子は、
あなたの子でもあるのよ」

妻は子どもを抱いたまま、立ち上がっていた。上の子はまだ寝ていた。だから僕らはひそひそ声で続けた。

「だってこれじゃ、2人で協力してやっているって思えないわ。あなたが寝かしつけをするたびに、なんで感謝しなくちゃならないわけ?この子はあなたの子でもあるのよ」

妻は、僕が家のことを手伝うことについては感謝していると言ったが、父親として当たり前のことをしているだけなのに、さもすごいことかのように「やってやった感」を出すのがイラつく、と言った。

僕は腹が立った。いますぐ妻に、時代錯誤のジェンダーによる役割分担でやっている夫婦が知り合いにどれほどいるか、リストを突きつけてやりたかった。

でもこのままだと余計なことを言ってしまいそうだから、家を出て会社へ向かった。

出勤途中に考えていた。最後に皿を洗ったときも、僕は感謝されるべきだと思っていた。

でも初めて「なぜか?」と自分に問いかけてみた。僕だってお皿を使ったのに?

妻を助ける、じゃなくて
それは当たり前のことだった

そして僕は、掃除や洗濯などにも同じように、褒められることを期待していたんだと気づいた。

それは本来は自分の仕事ではないことを、やってあげているという認識だったからだ。本当にバカみたいだ。

「妻が家事や育児に責任を持つのが当たり前だ」という価値観が深く根付いていて、子どもの寝かしつけをしているときも、妻を助けてやっているというスタンスでやっていた。

車を停めてオフィスに向かって歩く頃には、すっかり落ち着いていた。妻に電話して、僕が悪かったことを伝えた。

「君が正しいよ。夜中の子守りを、何かすごいことしているみたいに振る舞うべきじゃなかった。これからはもうやめるよ」

「ありがとう」

短い沈黙のあと、妻は言った。

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