「相撲の行司」が「短刀」を携えている理由は、誤審判定をしたときに......
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
東京・両国に「(初代)国技館」が完成した日
かつて中高年に多くのファンをもつ印象の強かった相撲ですが、数年前からは「スージョ(「相撲女子」の略)」と呼ばれる相撲を愛する若い女性の存在がフォーカスされるなど、そのイメージは徐々に変わりつつあるようです。
今日5月31日は、そんな相撲の聖地である「国技館」の最初の建物が完成した日(開館式は6月2日)です。
今から114年前の1909年に東京・両国に完成した初代の国技館は、「日本銀行」の本店や「東京駅」などをデザインした建築家・辰野金吾によるもので、その佇まいはふんだんに鉄骨をあしらいながらも瀟洒な雰囲気を漂わせた都会的なものでした。
火災や戦争の被害で修復、修繕を重ねつつ、旧・両国貨物駅の跡地に現在の二代目の新国技館が建設されたのは1984年。以降、相撲だけでなくさまざまなイベントなどで利用され、現在も親しまれています。
さて、それでは、初代国技館の完成日にちなみ、今日は相撲に関するお話を少々。
その長い歴史と日本の国技という特性から多くの格式高い規則や所作が特徴の相撲。それは競技者である力士だけでなく、“審判”の役目を務める行司(ぎょうじ)も同様で、烏帽子に特徴的な装束という出立からもみてとることができます。
そんな行司の装いによーく目をこらしてみると、腰元に“あるもの”を携えています。
そのあるものとは──なんと「短刀」。
位の高い行司は、短刀を腰に差して大一番を取り仕切るのですが、その理由は「誤審をした際に、切腹をしてその罪を償うため」なのだとか。
もちろん、実際にそんな刃物沙汰が起こることはないのですが、厳しい稽古を耐えて全力でぶつかり合う力士同様、それほどの強い覚悟をもって土俵に上がっている行司の意志の表れといえるのです。