【960万字以上!】読破できたら一生自慢できる、「世界最長」の小説

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

マルセル・プルーストが生まれた日

秋の夜長の読書……には、まだいささか早すぎはしますが、世の中には読破したら自慢に値する、そんな文学作品が数多く存在します。

たとえばトルストイ『戦争と平和』、ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』、日本にも司馬遼太郎『坂の上の雲』や山岡荘八『徳川家康』など、歴史小説は得てして長編ものが多いですよね。

そんな難解読破本の代表格といえば、マルセル・プルースト著『失われた時を求めて』ではないでしょうか。

公的に出版された世界最長の小説として、ギネス認定されている、長さはフランス語の原文にして3000ページ以上、日本語訳でも400字詰め原稿用紙にしておよそ10000枚、文字数でカウントすると960万9000字になるんだとか(スペース含む)。

そのプルーストが生まれたのが、1871年の今日7月10日。

自身の半生をかけて執筆した大作は1913年〜27年までに全7篇が刊行されましたが、5篇以降はプルーストの死後、弟ロベールや批評家のジャック・リヴィエールらが刊行を引き継ぐかたちで完結を迎えたのです。

プルースト自身を思わせる名前のない主人公<私>を取り巻く、数百人にも及ぶ膨大な登場人物。その関係もまた複雑で、今度こそは!と意気込んで、何度も挑戦しては途中で挫折を繰り返す。それが『失われた時を求めて』という史上最高難易度の小説。

それでも、チャレンジするたびに第一篇「スワン家のほうへ」ばかり繰り返し読むものだから(多分多くの人がそうであるように)、いつしか『失われた時を求めて』といえば、マドレーヌの挿話ばかりが記憶されるようになるんだと思うのです。

それは第一部「コンブレー」のなかに登場します。

ある寒い冬の日、帰宅した主人公<私>に母がマドレーヌを添えて紅茶を出してくれる。それを口にした瞬間、<私>のなかにまったく同じ味覚がフラッシュバックしてきた。それはかつてコンブレーで叔母が淹れてくれた紅茶そのもの。それをきっかけに、コンブレーの情景がティーカップの中から湯気とともに広がってきた……。

味覚や嗅覚から記憶が呼び覚まされる。この心理的作用はやがて「プルースト効果」と言われるようになるんですよね。

というわけで、今年こそは読了を誓う筆者であります。みなさんも、よろしければチャレンジしてみてください。間違いなく、自慢できますから。

Top image: © iStock.com/Claudia Longo
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。