ワーズワース「自然からの学び」とは、どういうことか?

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

ウィリアム・ワーズワース生誕252年

Come forth into the light of things, let nature be your teature.

万象の光り輝く場所にいでよ。そして自然を師と仰げ。

イギリス・ロマン主義を代表する詩人ウィリアム・ワーズワースの『The Table Turned』からの一説を、まずはご紹介しました。

今日、4月7日はワーズワースの誕生日。生誕252年という、なんとも中途半端な節目ではありますが、春うららなこの時期にこそお届けしたい内容です。

春は、行楽にアウトドアアクティビティに気持ちのいいとき。自然のなかに踏み入る際の知恵をワーズワースは教えてくれます。

それは書物ばかりに、あるいは机に向かうことばかりに固執するのではなく、大地の息吹や川のせせらぎ、若葉のこすれあう音からも学ぶべきことがあることを、私たちに説いているからに他なりません。

1770年、山水の景色が清らかで美しい湖水地方のコッカマスに生まれたワーズワースは、自然美に人間の感情を重ね合わせた詩作で人々の心を掴んだ人物。

かつて、「自然」は「科学」と対立する概念として位置づけられてきました。18世紀後半においても、哲学者たちにとって自然はまだ人間に救いや癒しをもたらしてくれるものという考え方はなかったのかもしれません。

そこに大地に染み入る水のようにワーズワースの詩は人々の心へと届けられた。

たんに美しい風景というだけでなく、ワーズワースが語る自然は、人間の生き方と密接な関係をもつ。だからこそ「自然からの学び」を提唱したんでしょうね。すべては自然のなかに答えがあると。

さて、最後にご紹介するのは、ワーズワース処女作とも呼ぶべき『抒情民謡集(Lyrical Ballads)』に掲載された『早春の詩』。意訳ではありますが、人と自然の関係を捉えた稀代の詩人の心理が読み取れるはずです。

Lines Written in Early Spring.

I heard a thousand blended notes,
While in a grove I sate reclined,
In that sweet mood when pleasant thoughts
Bring sad thoughts to the mind.

To her fair works did Nature link
The human soul that through me ran;
And much it grieved my heart to think
What man has made of man.

Through primrose tufts, in that green bower,
The periwinkle trailed its wreaths;
And ’tis my faith that every flower
Enjoys the air it breathes.

The birds around me hopped and played,
Their thoughts I cannot measure:—
But the least motion which they made
It seemed a thrill of pleasure.

The budding twigs spread out their fan,
To catch the breezy air;
And I must think, do all I can,
That there was pleasure there.

If this belief from heaven be sent,
If such be Nature’s holy plan,
Have I not reason to lament
What man has made of man?

木立のなかに寝転びながら
私は自然の奏でる音色を聴いた
すると甘く心地よい気持ちはいつしか
悲しい思いに変わっていった

人の心は自然の一部
なのにそのことが私を悲しくさせる
自然と深く結びついているはずの人間が
自然に反する生き方をしてきたのではないかと

プリムローズのアーチを抜けると
日々草が花輪をなびかせている
どの花もみな呼吸するように
自然の息吹を享受している

周りには跳ね飛び交う小鳥たち
彼らの思考を図ることなんてできないけど
その仕草にさえも
生きるよろこびが感じられる

芽吹いた小枝が扇状に広がり
そよ風を受け止めようとしている
私は理解しなければならない
そこにもまた喜びがあることを

もし、この思いが天からの贈りものなら
もし、これが自然の計らいだったならば
私には嘆くべき理由がない
なぜなら人の心もまた、自然の一部なのだから

Top image: © iStock.com/Inna Giliarova
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