ブラックフライデー商戦に先制、Targetが仕掛ける「テイラースウィフト」戦略
世界的人気を誇る歌姫、テイラー・スウィフト。日本でも行われた彼女の最新ツアー「The Eras Tour」の熱狂冷めやらぬなか、米大手ディスカウントチェーン「Target(ターゲット)」から、迫るブラックフライデーに向けた限定商品の発売が発表された。
どちらも数量限定、しかも当日は店頭販売のみというプレミア感に、ファンは垂涎間違いなし……!
ツアーの裏側を大解剖
熱狂を加速させる「体験型消費」戦略
同社が発売を発表した『Taylor Swift | The Eras Tour Book』は、500枚以上の写真が収められた写真集で、貴重なライブ写真やリハーサル風景はもちろんのこと、テイラー自身の回想やメモも収録されている。ファンにとっては、彼女の創作過程に触れることができる貴重な一冊となるだろう。
また、これまでデジタル限定で配信されていたアルバム『The Tortured Poets Department: The Anthology』がついに円盤化。4曲のボーナストラックを含む全35曲を収録し、LPレコードには未公開ポスターも付属するとのこと。
Targetは、過去にもテイラー・スウィフトのアルバム限定盤を10種類以上販売しており、その歴史は長い。同アルバムのファントムクリア盤はすでに予約販売数が過去最高を記録するなど、影響力や販売力の高さは実証済みだ。
ターゲットが見据える「コト消費」需要
彼女の栄光は言わずもがな、今回はTargetがブラックマーケットでみせたマーケティング戦略にスポットを当てたい。
近年の消費トレンドとして、商品やサービスそのものだけでなく、それに付随する体験やストーリーに価値を見出す「コト消費」の広がりが挙げられる。彼らの戦略はまさにこの流れを汲むものと言えるだろう。限定販売という形式を通して、「いち早く手に入れたい」「特別な体験を共有したい」という消費者の欲求を刺激し、購買行動を促進する狙いがある。
さらに、ブラックフライデー当日は店頭販売のみ、翌日からはオンラインストアでも販売開始という、独特な販売チャネルの使い分けにも注目したい。これは、ECサイトの台頭により消費行動が多様化するなかで、リアル店舗ならではの購買体験と、オンライン販売の利便性を併せもつ戦略。アーティストと小売、そして消費者を繋ぐ新たなビジネスモデルの可能性を示唆していると言えるだろう。
情報過多な現代社会において消費者の心を掴むためには、商品そのものの価値だけでなく、いかに魅力的な“文脈”を付与できるかが重要であるということを意味しているのかもしれない。
👀GenZ's Eye👀
2022年にはニューヨーク大学でスピーチをし話題を呼んだテイラー。彼女の生き様をロールモデルにするファンは少なくない。彼女の文脈や背景を「コト消費」するのはなんともZ世代らしい。
でも、SNSなどで性格や生き様を又聞きできてしまうイマだからこそ、自分で見聞きするパフォーマンスをしっかり味わいたいと思う。ライブでスマホを掲げるのもいいけど、歌声に合わせて目をつぶったり、拳を掲げることを恐れずにいたい。