「史上最大のショー」に世界が涙したワケ
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
マイケル・ジャクソンの追悼式が行われた日
20世紀以降のポップスに多大なる影響を与えた「キング・オブ・ポップ」こと、マイケル・ジャクソンがこの世を去ってはや14年。
史上もっとも成功したエンターテイナーは、生前、自身の葬儀について英タブロイド誌「デイリー・ミラー」にこう語っていました。
“It is going to be the greatest show on earth. That's what I want, fireworks and everything.”(地球上で最高のショーになるんだ。花火からなにから全部。それがボクの望みさ)
まさか、そのショーが数年後に現実のものとなるとは、このときマイケルも考えてはいなかったはずです。
2009年7月7日、米ロサンゼルスのステープルズ・センターでマイケル・ジャクソン追悼式が行われました。式はCBCやNBC、ABCなど全米のTVネットワークを通じ全世界へと中継され、全世界で数億人がキング・オブ・ポップに最後の別れを告げました。
式はマイケルが望んだようにショー的要素も多分に含まれ、マイケルと親交の深かったアーティストが多数多数登場。
マライア・キャリーによる『I'll Be There』に続き、スティービー・ワンダー、ジェニファー・ハドソンらのパフォーマンスと、その合間合間で音楽関係者や友人らによる追悼のスピーチが。
式終盤には、ライオネル・リッチーとともに作詞・作曲したアフリカ飢餓救済ソング『We Are The World』を参加者全員で歌う場面も。
そうして、ジャクソンファミリーによる弔辞と列席者への謝辞で式は締めくくられると誰もが思っていた最終盤、“史上最大のショー”のドラマは待っていました。
四男マーロン・ジャクソンの涙ながらのスピーチのあと、マイクは妹ジャネット・ジャクソンへと渡されました。
ジャネットがなにを語るのかにカメラが注目するなか、彼女はマイクスタンドをくいっと低く下げました。そして……マイクの前に立ったのは、当時11歳のマイケルの長女パリスでした。
込み上げる嗚咽をぐっと抑えながら力強くマイクを握ったパリス。「大きい声でね」と、やさしく肩をさするジャネットに励まされながら、涙ながらに自分の想いを言葉にしました。
"I just wanted to say, ever since I was born, Daddy has been the best father you could ever imagine. And I just wanted to say I love him so much."(私がこの世に生まれてからずっと、パパは誰から見ても最高のお父さんでした。ひと言だけ言わせて。パパが大好きです)
一言一言、絞り出すように想いを口にした11歳の少女の姿は、世界中の人々の涙を誘い、会場からは大きな拍手が贈られ、そうして史上最大のショーは幕を下ろしたのです。