制作に50年……ネバダの砂漠に出現した「コンクリート複合物」
米国のランドアート芸術家として知られるマイケル・ハイザーが、その生涯でもっとも大規模で、有史以来最大とも言われる作品『City』をネバダ州の砂漠上に完成させた。
1972年から制作を始めたこの作品。2022年9月の完成までに、じつに50年の歳月を費やしたという。
Complex One, City. © Michael Heizer. Courtesy Triple Aught Foundation. Photo: Mary Converse
City, 1970 – 2022 © Michael Heizer. Courtesy Triple Aught Foundation. Photo: Eric Piasecki
長さ2.4km、幅800mに及ぶ広大な砂漠に設置されたのは、盛り土と砂利、そしてコンクリートで造られた超巨大アート作品。
広大な土地を利用して造られる「ランド・アート」は、1960年代後期から広がった美術界のムーブメントだ。
マイケル・ハイザーの地球と岩を動かすことへの執着は、古代の人々からの大量の石の彫刻と動きを研究した彼の父、考古学者ロバート・ハイザーから影響を受けていると言われている。
City, 1970 – 2022 © Michael Heizer. Courtesy Triple Aught Foundation. Photo: Eric Piasecki
City, 1970 – 2022 © Michael Heizer. Courtesy Triple Aught Foundation. Photo: Eric Piasecki
『スミソニアン』誌によれば、『City』の製作には4000万ドル(執筆時約52億円)が投じられ、ハイザー自身も資金を提供したという。
もっとも、その巨大性ゆえ、鑑賞するのも簡単ではない。
現在、この作品の鑑賞は天候の良い日に6枚のチケットが限定販売されるだけであり、鑑賞者は1日かけて敷地を散策することができるという。
作品のテーマやコンセプトについて、書くことはここでは控える。
ハイザーが50年の歳月をかけて伝えたかったことは何なのか。現地に行くことは困難でも、そこに思いを馳せるだけで価値があるだろう。
© Michael Heizer. Courtesy of Triple Aught Foundation. Photo: Ben Blackwell
45°, 90°, 180°, City. © Michael Heizer. Courtesy Triple Aught Foundation. Photo: Joe Rome
Top Image: 45°, 90°, 180°, City © Michael Heizer. Courtesy of Triple Aught Foundation. Photo: Ben Blackwell