「世界からコンクリートが消える日」迫る

「貝殻」が環境に及ぼす影響ってご存知だろうか。

自然が産んだものだし一見無害そうに思える貝殻だが、じつは非生分解性で、環境への負荷は大きいのだそう。

なにより、水産業や養殖によって生まれる貝殻の排出量は、毎年700万トンにも及ぶという。この数字は環境だけでなく、廃棄にかかる費用などでレストランにも負担となるもの。

そんな状況を打開すべく、動いたのはソウルとロンドンを拠点に活動するデザインスタジオ「Studio newtab-22」。

まずはこちらの動画を見てほしい。

© newtab-22/YouTube

生まれたのは「Sea Stone」なる新素材。

粉砕された貝殻を天然の接着剤と混ぜて鋳造することで、コンクリートに似た性質のタイルへと仕上げたものだ。強度もほぼ再現できているという。

さらに驚きなのは、Sea Stoneの製造過程では化学処理を必要とせず、火や電気すらほぼ使わなくていいということ。

素材が廃棄物由来なだけでなく、製造する過程でかかる環境と人への負荷が極限まで軽減されているというのが最大の強みなのだ。

強度はコンクリートのそれとほぼ同様、しかもかかる費用は安価で、かつ環境への負荷は比較にならないほど小さく、さらに軽量で運搬性に優れるとくれば、もう文句はないはず。

© 2021 Newtab-22

残された貝殻の破片が装飾のように散りばめられているのも可愛らしい。これだって、自然の素材だからこそ成せるものだ。

「貝殻でできた建物」なんておとぎ話のようだが、それがゴミを減らすためのアイデアだなんて、もっと夢のよう。

生産性が向上して普及すれば、近い将来、コンクリートにとって代わりあらゆる建築に使用される日が来るかもしれない。今後の進展に期待したい。

Top image: © 2021 Newtab-22
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。