“クール”すぎると話題。冷蔵庫の新たな「返品」のあり方

「返品」という言葉にポジティブなイメージを持つ人はきっと少ないだろう。違うものが届いてしまった、サイズが合わない、そもそも不良品だった……お金も時間も無駄になることこの上ない。そして返品を避けたいのは、我々だけではなく地球も同じ。

CleanHub」 の報告によると、eコマースの返品に起因する二酸化炭素排出量は毎年2400万トンだそう。2022年には、返品により95億ポンド(日本円にしておよそ2兆円)にも相当する商品がゴミ処理場行きとなっている。

地球にとっても人にとってもできればしたくない。そんな返品のあり方を“クール”に一新するプロジェクトが、アメリカで話題となっている。

あなたが返品した冷蔵庫が
誰かの「食」をつなぐ?

© whirlpoolcorp/Instagram

FEEL GOOD FRIDGE」は、米国家電メーカー「Whirlpool」によるプロジェクト。店舗で返品された冷蔵庫を回収・修繕して、食品の保管を必要とするフードバンク施設に寄付する試みだ。寄付した冷蔵庫の修繕や部品交換は無償で対応しており、長く使ってもらうためのアフターケアも充実している。
2021年に誕生した同プロジェクトは、ローンチから3年でおよそ900台の冷蔵庫を改修し、25万ポンド以上の食料をパートナー機関に寄付。2万5000世帯以上に新鮮な食糧を届けてきた。

子どもの5人に1人が飢餓状態
逼迫するフードバンク需要を救え!

© whirlpoolcorp/Instagram

「FEEL GOOD FRIDGE」が注目されている背景には、アメリカにおけるフードバンク需要の増加が関係している。
米国農務省(USDA)によると、2022年には4400万人が食糧不足世帯で生活しており、前年比およそ31%増。統計開始の2008年以来、1年間で最大の増加となっている。また、現在子どもの5人に一人が飢餓状態にあるともいわれており、フードバンクが命のつなぎ目になっているケースも少なくない。

つまるところ、増加する需要に応えるには食糧を用意するだけでなく、それを保管する設備も非常に重要ということ。保存食だけでなく生鮮食品も提供できるなど、寄付する食品のバリエーションも増やすことができる冷蔵庫の寄付は、食育の観点からも有用性が高いと言える。

今後も拡大する
Feel Goodな返品のあり方

さて、テキサス州ダラス地域限定ではじまったプロジェクトは、今後全米へとサービスを拡大を予定。ダラスに加え、アトランタ、シカゴ、デトロイト、ヒューストン、ロサンゼルス、ミネアポリス、オーランド、フェニックス、ウェストミシガンなどの地域で、2030年までに3000台の冷蔵庫を届けることを目標としている。

自分にとっての不要なものも、きっと誰かにとっては必要なもの。地球にとっても人にとっても、Feel goodな返品のあり方を模索していきたいものだ。

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