世界のユニークな「フードロス対策」とは?
2015年に国連総会で採択されたSDGsの17の目標の中で、“2030年までに世界中の食料廃棄量を半減する”と掲げられ、世界はフードロス削減に向けて大きく動き始めました。
早くから法整備によって動き出した国や、企業・レストランなどが自主的に取り組んでいるケースも。今回は数ある世界のフードロスへの取り組み事例のなかから、特にユニークな事例にフォーカスして紹介します。
フードロス削減において
先駆者を目指すフランス
フランスでは2016年に国内のスーパーマーケットで食品を廃棄することを禁止し、売れ残りの食品は寄付、もしくは飼料などに転用することを義務付ける法律が施行されました。違反した場合は75,000ユーロ(約1,000万円)の罰金、もしくは懲役2年が課せられることからも本気が伺えます。さらにこの法案をEU全体のスタンダードにするために、1人でEU各国から74万人分の署名を集めたフランス地方議員も大きな注目を浴びました。また国だけではなく市民レベルでも改革は進んでおり、フランスは世界で最もフードロス削減に対して国全体の動き出しが早かった国の1つと言われています。続きを読む>>>
廃棄食材を絶品料理に
イタリアのレストランの挑戦
2015年のイタリア・ミラノで開催された万国博覧会のプロジェクトの1つとしてレストラン「Refettorio Ambrosiano」はオープンしました。イタリアで年間約1080億円相当も捨てられる食材を引き取り、ミシュランの星を獲得したシェフが絶品イタリアンによみがえらせたのです。万国博覧会の終了後も地域のサポートにより活動は続けられ、今ではホームレスの人と地域の人が集まれる場所にもなっています。続きを読む>>>
買い手が値段を決められる
オーストラリアのスーパーマーケット
2017年にオープンしたオーストラリア・シドニーのスーパーマーケット「OzHarvest Market」は、賞味期限や形が不恰好という理由で廃棄予定の食料ばかりを集めており、それらの商品には値札が付いておらず買い手が値段を決めることができるのが大きな特徴です。年間400万トンもの食料が埋立地に捨てられているオーストラリアの問題を解決する試みの一環として慈善事業団体により運営されており、働いている人は全てボランティアです。続きを読む>>>
ロンドンから世界へ
余った食材を共有できるアプリ
イギリス・ロンドンで2015年にリリースされたアプリ「OLIO」は、譲りたい食料をユーザー同士で「おすそわけ」できるアプリです。個人だけではなく地元の企業や食品店なども利用しており、買いすぎた食料や売れ残りを無駄にせず、かつ必要としている人が受け取れる仕組みを作っています。現在では180万人以上のユーザーが登録しており、イギリスのみならず、アメリカやスウェーデンなどでも活用されています。続きを読む>>>
フードロス対策で
オランダを行脚するレストラン
オランダに3店舗ある「Instock」は廃棄食品をアップサイクルした料理を提供するレストランです。レストラン以外にもフードトラックで販売をしており、オランダ中を場所の制約なく動き回ることでフードロス問題を地方へもアプローチし、自分たちのメッセージを広める活動を行なっています。続きを読む>>>
機内食の余りを寄付
カタール航空のフードロス対策
2020年1月20日、カタール航空のケータリング会社「Qatar Aircraft Catering Company(QACC)」は機内食の余りや未提供の食品を地元のコミュニティに寄付することを発表し話題になりました。今まで捨てられていた未開封のヨーグルト、チョコレート、果物、ソフトドリンクなど毎日最大300kgが、廃棄を免れることになるそうです。続きを読む>>>
フードロスの問題は法律や慣習によって大きく原因が変わってくるため、国によって対策は多様化しているようです。旅行先でこういった取り組みを体験してみたり、他国の事例を知ることで、自分の生活を見直すきっかけにもなりそうですね。
知っておきたい日本のフードロス事情
ここまで世界のフードロス事例を紹介してきましたが、日本の現状はどうなっているのでしょうか。
2019年10月1日、日本で「食品ロス削減推進法案」という新しい法律が施行されました。これは日本でのフードロス問題解決における基本的な方向性を定めたものです。その背景にはアジアでワースト1位とされる日本での食品廃棄量の深刻な問題があります。
2019年に農林水産省が発表した資料によると、2016年度における日本の食糧ロスは年間643万トンにものぼります。これは国連が世界中の飢餓の人へ援助する食料の総量380万トンの1.7倍にも相当。一人当たりに換算すると、年間約51kgもの食べ物を捨てている計算に。
フードロスを少しでも減らすために、まずはそんな現状と対策を知ることからはじめたいですね。日本のフードロス対策、取り組み事例については以下の記事で詳しく紹介しています。