「Wikipediaの信頼性を向上させる」新手のAIシステムが話題に
オンライン百科事典「Wikipedia」の編集は、世界中の人々によるボランティアに支えられている。そして、こういったフリーの百科事典においては“情報の裏付け”となる参考文献がとっても大事。
しかし、Wikipediaの参考文献には時折問題があることも。
たとえばサイト元が削除されていたり、誤った情報だったり、信頼性の低いソースを指していたり、百科事典の参考文献としては不適切である場合があるのだ。
長く続いたこの状況だが、AIが改善してくれるかもしれない。
科学誌『Scientific American』によると、不正確な参考文献を修正して信頼性を向上させる、革新的なAIが誕生したという。
英テック企業「Samaya AI」が開発した『SIDE』と呼ばれるそのAIシステムは、同サイトにおける信頼性の低い引用元を特定し、その代わりとなるようなより適切で信頼性の高い文献を提案してくれるらしい。
このAIシステムはニューラルネットワークを元に開発されたもので、数多あるWikipediaの記事の中から、多くの注目を集めている記事に絞って開発を進行。開発チームが行ったテストでは、SIDEが提案した適切な参考文献は、およそ50%の確率で既に記事内に引用されていたそう。
裏返せば、それ以外のケースにおいても、同等の確率でより正確・信憑性のある文献を提案できるということになる。
さらに、Samaya AIはWikipediaユーザーへの調査も実施。
記事の参考文献の好みを聞いたところ、10%のユーザーが既存の参考文献を好んだ一方で、これを超える21%の人々がSIDEによって提案された参考文献を好んだとのことだ。
AIによるこのシステムは、記事編集者やサイト管理者の作業時間を格段に減らせる画期的なツールなのかもしれない。ただし、同時にWikipedia特有の“人間が介入する隙がある”というユニークさを失くさぬよう、慎重に考慮する必要があるだろう。
ちょうど良いバランスでAIと共存していきたいものですね。