上司との関係性が向上する「心の声」との付き合いかた
とかく人間関係とは、ストレスを抱える要因になるものです。学校でも、会社でも。
風通しさえよくなれば、ストレスを抱えることなく他人と付き合えるようになると説くのは、エグゼクティブ・コーチ(相手の能力を最大限発揮させるため会話を通じて引き出すこと)を務める和気香子さん。ポイントは、自分の生き方を縛る「クセ」を見つけ出すことだとか。
近著『人間関係の整理術』(クロスメディア・パブリッシング)で、「上司と働きたくなくて毎日が憂鬱」と悩んでいるK子さんにスポットを当てている章を紹介します。著者とK子さんの対話を通して、どのようにこの状態をプラスにしていくのか……思考術がまとめられています。
目標を失いかけている
K子さんの状況
努力家のK子さんは、学生時代、柔道部で県大会の上位に食い込むほど部活動に猛烈に打ち込んだ人物。就職後も持ち前の努力で憧れの上司の元へ配属となりました。けれど、いざ一緒に働いてみると、休みなく働かないとついていけないし、仕事のクオリティーに対するハードルがどんどん上がるしでウンザリ。今では毎日会社に行くのが憂鬱です。
K子さんとの対話
頑張り屋の性格は長所ですが、能力が発揮できる状況でないと自分を追い詰めるばかり。以下は、私(著者)とK子さんの会話です。
著者:今までの人生を振り返って、今回のように心身共にキツくて憂鬱だったってことありますか?
K子さん:運動部だったのでキツいことは多かったけど、こんなに長く続くことはなかったです。でも、私ならできるって証明したいし、上司にも認められたいです。
今までK子さんはプライドを原動力に頑張ってこられたようです。でも今回は、それだけでは足りないので、壁にぶち当たっているのかもしれません。
著者:部活の頃とは何が違うと思う?
K子さん:部活もかなりハードでしたが、キツくても楽しかったです。今は朝起きるのも、仕事からの帰りも辛くて。でも、仕事なら当然だし、上司に失望されたくないし……。
どうやら、原動力だったはずのプライドから「上司に失望されるかも」という不安が出てきて、ムリすることを止められず、こんがらがった頭はフリーズ状態になっているようですね。
著者:このままずっと続けているとどうなると思う?
K子さん:ムリですね。体が持たないか、先に心が折れそう。そうでなくても、大きなミスを出して周囲に迷惑をかけそう。
著者:ではどうしたら良いかな?
K子さん:要領がいい先輩や同僚に相談してみます。それで解決できなかったら、上司に直接相談してみようと思います。
どうやら解決策は見えているようです。これからどう動くべきか見えているのならば、後は実行に移すべきです。
プライドを“断捨離”して整理する
「頑張らなきゃ」でフリーズしてしまったときは、いったんそれを横に置き、心の声を聞いてあげましょう。次の問いを自分に投げかけてみてください。
【このままずっと続けたらどうなる?】
「ムリ」という心の声を認めると「私なら今回も頑張れるはず」と自分を鞭打っていたプライドが薄まります。すると、頭が心に協力して「あの上司のようなやり方ではなく、どうやったら自分がうまくいくのか」について考えることができます。
心の声に耳を傾け「自分に鞭打つプライド」というジャマなものを捨ててしまえば、視野が広がるに違いありません。K子さんのように周囲に悩みを打ち明けることも打開策になります。そうやって「上司と私」以外の人たちに頼ると解決することも多くあります。
ムリを認めても、あなたの能力は変わりません。自分らしく頑張れるやり方で仕事を成し遂げれば、ちゃんと評価されますよ!